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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年4月24日 No.3681 日台産業協力のさらなる拡大に向けて -第52回東亜経済人会議を開催/東亜経済人会議日本委員会

黄氏(右)と飯島委員長

経団連の東亜経済人会議日本委員会(飯島彰己委員長)は3月17、18日、東京・大手町の経団連会館で、台湾の東亜経済協会(黄教漳理事長)と共に第52回東亜経済人会議を開催した。日本側から約70人、台湾側から約60人の総勢130人が参加した。

2025年1月の米国・トランプ政権発足以降、一方的な関税賦課が相次いで表明されるなど世界経済が不透明性を増すなかで、日台の産業協力の一層の拡大に向けて討議し、共同声明を取りまとめた。概要は次のとおり。

第1セッションでは、日台双方の政治・経済情勢を概観した。日本側は、個人消費や設備投資が緩やかな回復傾向にあるなかで、今後、生産性向上に向けた人的資本への投資がカギとなる旨を指摘した。台湾側は、好調な輸出を背景に24年の台湾経済は高い成長率を記録したと報告する一方、トランプ政権の関税政策が経済に及ぼす影響について懸念を示した。

第2セッションでは、日台産業協力について四つの分野を取り上げて議論した。

第一に、デジタルトランスフォーメーション(DX〈半導体、AI〉)について、日本側は、生成AIが半導体需要を牽引するなかで、AIの進化に応じた半導体の製造と納期短縮に向けたファウンドリの多角化の必要性を指摘。また、日台連携によるサプライチェーン強靭化への期待を示した。台湾側は、半導体の製造は台湾、素材や製造装置は日本、設計は米国といった、強みを生かした台米日連携の推進が重要と強調した。

第二に、グリーントランスフォーメーション(GX〈グリーンエネルギー、水素〉)について、日本側は、生成AIの発展に伴い電力需要が拡大するなか、日台双方にとって、原子力発電所の早期再稼働や水素の利用などさまざまな道筋の存在の重要性を指摘した。台湾側は、再生可能エネルギーの普及に伴い蓄電池市場が急速に拡大するなか、水素が蓄電のカギとなることから、さらなる研究開発の必要性を示した。

第三に、観光について、日本側は、24年、台湾からの訪日観光客数が過去最高の約604万人を記録し、1人当たりの旅行消費額は過去5年間で59.1%、リピーター率も88.6%増加したと指摘した。台湾側は、電子ビザや観光補助金、プロモーション活動など、訪台日本人観光客の増加も含め、インバウンドのさらなる拡大に向けた取り組みを紹介した。

第四に、少子高齢化(医療、ヘルスケア、バイオテック、ウェルビーイング)について、日本側は、日台共通の社会課題である少子高齢化や人口減少による経済的影響を最小限にするために、健康や安全に配慮した職場づくりなど、ウェルビーイングの実現の重要性を指摘した。台湾側は、高齢化社会が進展するなかで、健康寿命の延伸がカギであると言及した。また、少子化政策として、子育て世代への家賃補助や、東南アジアからの熟練労働者の受け入れ推進の必要性を示した。

【国際協力本部】

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