
アイデ大臣(左)と髙島副会長
経団連の髙島誠副会長・ヨーロッパ地域委員長、齋藤洋二同企画部会長は6月3日、東京・大手町の経団連会館で、ノルウェーのエスペン・バット・アイデ外務大臣、ラグンヒル・ショネル・シールスタ貿易・産業・漁業副大臣、ノルウェー産業連盟(NHO)一行と懇談した。アイデ大臣、シールスタ副大臣の発言の概要は次のとおり。
■ アイデ大臣
日本とノルウェーは共に海洋国家であり、輸出入双方で海上貿易に依存している。両国にとって、開かれた安全な海路と、自由貿易の維持は重要である。両国とも米国の同盟国であり、安全保障面でも似た立ち位置にいる。
しかしわれわれがよって立つ国際秩序には、ロシアや中国等が挑戦しているだけでなく、米国も脅威をもたらしている。こうした困難な時代において、価値観を共にする日本とノルウェーはビジネス・政治の両面でより緊密な協力関係を築く必要がある。経済面ではとりわけ、クリーンエネルギー、海洋産業、医療技術、人工知能の分野を通じた協力が有望である。
ノルウェーは日本と経済連携協定(EPA)を締結することを望んでいる。日本とノルウェーは共に世界貿易機関(WTO)のルールを遵守しておりWTOに好意的だが、現在WTOは危機的な状況にある。これを補完する二国間の協定がより重要であり、日ノルウェーEPAを前進させる必要がある。
15年前にアジアへの投資を検討していた際は中国が主眼だったが、今は投資先は多様化すべきとの理解が浸透している。例えば経済安全保障の観点から重要視されている鉱物等に関しては、サプライチェーンを多様化するうえでも両国が連携できるとよい。
■ シールスタ副大臣
2025年、日本とノルウェーは外交関係樹立120周年を迎えており、両国関係の中心である貿易をさらに拡大する良い機会である。
エネルギー分野では、日本が第7次エネルギー基本計画で野心的な気候目標を掲げていることをうれしく思う。
両国間では、海洋水産物のみならず、宇宙・防衛分野でも友好関係をさらに発展させることが重要である。また、両国とも経済安全保障への関心が高まっている。両国の競争力を強化するとともに、強靭性を高めてリスクを軽減するために、バリューチェーンを多様化することが必要である。
アイデ大臣が発言したとおり、日ノルウェーEPAの交渉を拡大させることに期待したい。私たちは価値観と目標を共有している国同士であるため、EPAは両国ビジネスにとって非常に良い枠組みとなるだろう。
【国際経済本部】