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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年6月19日 No.3687 OECD閣僚理事会に参加 -経済界からOECDや各国政府に対する期待を提言

稲垣委員長

OECDは6月3、4の両日、フランス・パリでOECD閣僚理事会を、コスタリカを議長国として開催した。経団連およびOECDの公式諮問機関であるBIAC(Business at OECD、経済産業諮問委員会)の代表として、稲垣精二審議員会副議長・OECD諮問委員長が参加した。

■ 閣僚理事会の全体像

日本政府からは、平将明デジタル大臣らが参加した。

2日間にわたったセッションでは、開かれた市場とルールに基づく国際貿易システムの強化や、地球環境の持続可能性と社会的包摂性のあるグローバルエコノミーの構築のほか、信頼性のある自由なデータ流通(Data Free Flow with Trust, DFFT)やAIなどの先端技術のガバナンスに関するテーマのもと、世界各国の政府代表や国際機関の代表が活発に議論した。

BIACは閣僚理事会に向けて、経済界の主張の基調を定める提言書「Leading the Way ~ルールに基づく貿易・投資・イノベーションを通じた強靭性と包摂性、持続可能性のある繁栄に向けて」を事前に公表した。

閣僚理事会の各セッションでは、BIACのリック・ジョンストン会長はじめOECD加盟国の経済界代表が、同提言書の主張をベースに、自らの知見を交えたうえでBIACの代表として発言した。

■ DXと越境データ流通の加速化セッション

デジタルトランスフォーメーション(DX)と越境データ流通の加速化のセッションで稲垣委員長は、「DXのポテンシャルを十分発揮するには、強靭で信頼性の高いデジタルネットワークや開かれた市場、信頼ある越境データ流通が不可欠である。近年、データ保護枠組みが増加するなか、データガバナンス政策の一貫性と透明性が求められており、OECDのルールメーキングの役割が重要となる。新興国や遠隔地におけるデジタル格差の是正や、中小企業の巻き込みに向けたOECDの今後の取り組みに期待したい」と、信頼ある越境データ流通が必要な事例として、自動運転技術を引き合いに出しつつ、OECDや各国の政府代表に提言した。

■ AIガバナンスと国際協調の強化セッション

AIガバナンスと国際協調の強化のセッションで稲垣委員長は、製薬業界でAIの導入により新薬開発のスピードと効率が飛躍的に向上した事例を紹介し、一貫性を欠く規制環境がイノベーションのグローバル展開の足かせとなっていると主張した。

そのうえで、こうした課題の克服に向けて、「BIACはOECDと連携して、(1)『G7広島AIプロセス報告枠組み』(HAIP)を通じたAIに関する企業の透明性の確保と相互運用性の向上(2)OECD域外の国々へのOECD AI原則の普及(3)イノベーションを阻害しないAIガバナンスの確保――に取り組んでいる」と適切なAIガバナンスに向けたマルチステークホルダーとの協調の重要性を強調した。

加えて、「AIの経済的・社会的な潜在力を最大化するには、あらゆるセクターへの導入を可能とする環境整備が不可欠であり、中小企業の巻き込みとデジタル人材の育成にも取り組むことが必要」と指摘した。

◇◇◇

次回のOECD閣僚理事会は2026年、フランス・パリでフィンランドを議長国として開催される予定である。経団連は、引き続きBIACへの参画を通じて、OECDの政策議論に日本経済界の意見を反映するよう努めていく。

【国際経済本部】

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