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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年11月13日 No.3705 慈善活動、協働、啓発の各側面から難民問題に関する企業の関与に期待 -グランディUNHCR高等弁務官が講演

グランディ氏

経団連は10月15日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のフィリッポ・グランディ高等弁務官の来日に合わせ、企業行動・SDGs委員会(西澤敬二委員長、秋池玲子委員長、眞鍋淳委員長)の委員らを対象に、東京・大手町の経団連会館で講演会を開催した。グランディ氏の発言内容は次のとおり。

■ 難民を巡る現状

難民問題は「パーフェクトストーム」と形容されるほど、極めて厳しい状況にある。

紛争、気候変動、特定のコミュニティに対する差別等により、世界の難民・国内避難民は約1億2300万人に上る。

ウクライナ、スーダン、コンゴ(旧ザイール)、アフガニスタン、ミャンマー等、世界各地で人道危機が発生している。バングラデシュへのロヒンギャ難民の流入では、難民キャンプの設置により大規模な森林伐採を引き起こし、UNHCRが植林再生を行った。

明るい事例としては、シリアで2024年末の政権崩壊を機に約280万の難民・国内避難民が帰還を果たした。難民に対して豊かな国を目指すイメージがあるかもしれないが、実際には、彼らは故郷に戻ることを願っている。住宅修復、インフラ復旧や雇用回復等、彼らが帰還した後の生活復興支援は、世界銀行や各国政府の大切な役割である。

■ 日本企業への期待

政府や市民社会、企業など、日本の皆さまにはUNHCRの活動に大いに協力いただいている。近年のトルコ・シリア地震やミャンマー地震等、難民の多い地域で発生した災害に対して、経団連会員企業から寄せられた支援にも大変感謝している。

人道支援への協力は地域の安定に貢献する取り組みであり、グローバル経済の枠組みで活動する日本企業にとって、事業地域の安定は望ましいことだと思う。

日本企業には寄付等の「慈善活動」に加え、難民が自立するための職業訓練や雇用、技術や金融など事業プロジェクトでの「協働」、情報発信力を生かした難民問題の「啓発」も期待したい。

日本は長年ソフトパワーを発揮し、尊敬と信頼を獲得してきた。これからも難民を支援し、世界における善たる存在であり続けてもらいたい。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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