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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年11月13日 No.3705 未来のモビリティ社会実現に向けて -モビリティ委員会

伊吹氏

佐藤委員長

片山委員長

茅本委員長

経団連は10月22日、モビリティ委員会(佐藤恒治委員長、片山正則委員長、茅本隆司委員長)を東京・大手町の経団連会館で開催した。企業・団体関係者に加え、経済産業省の伊吹英明製造産業局長をはじめとする経産省・資源エネルギー庁幹部の参加も得て、オンラインを含め350人の盛会となった。「未来のモビリティ社会の実現」に向けた取り組みについて活発に議論を交わした。概要は次のとおり。

開会あいさつで佐藤委員長は「モビリティを軸に日本の競争力強化に貢献する観点から、未来のモビリティ社会の実現に向けた“七つの課題”を策定している。この2年間、個々の課題について業界横断的な検討を進めてきた」と述べた。

片山委員長は「モビリティ社会とは、人・モノ・情報が安全かつ自由に行き交う社会であり、産業界全体で取り組むべき国家的プロジェクトである」と発言した。

茅本委員長は「中堅・中小企業を含むサプライチェーン全体で取り組むことが重要」と呼びかけた。

その後、片山委員長が七つの課題の進捗を報告。次の3テーマに焦点を当てて進捗状況と今後の展望を報告し、意見交換を行った。

■ 半導体の安定調達

モビリティの進化に伴い、必要な半導体の種類が増加するなか、旧世代半導体からの新陳代謝の促進、サプライチェーンをつなぐ情報プラットフォームの構築、半導体技術者の育成に取り組んでいる。

特に、車載用途で多用されるアナログ半導体の供給安定化に向けて、業界横断のガイドライン策定や官民協議を進め、国内生産の強化と競争力向上に取り組んでいる。

■ 日本の電池エコシステム構築

電池のリユース・リサイクル、電池パスポートなどの価値の見える化を軸に、国内循環型モデルの確立を目指す三つの実証プロジェクトが始動している。

2026年春の完了をめどに、電池資源の有効活用とCO2削減に貢献する仕組みづくりを進めている。

経産省との連携のもと、制度整備や事業者認証の仕組みづくりも検討している。

■ カーボンニュートラル燃料の早期実装

バイオエタノールの導入拡大を起点に、既存インフラを活用した段階的な導入を推進している。

現在、国内保有車両の約3割がバイオエタノール10%混合の低炭素ガソリン(E10)認証車となっており、28年度には一部地域での先行導入が予定されている。

将来的には同20%混合のE20の認証制度導入に向け、官民連携による現実的な普及策に取り組んでいる。

■ 経産省コメント

これら報告を踏まえ、伊吹氏は次のとおりコメントした。

国内の車載アナログ半導体の生産能力強化や、海外生産の国内回帰に向けた支援を継続していく。経済安全保障の観点からも、国内生産品の採用は、緊急時の対応力を高めるうえで有効である。

今後は静脈分野も含めて丁寧に議論を進めたい。特に、蓄電池のリユース活性化に向けて、正しい評価方法の確立が不可欠である。

本格的なバイオエタノールの導入拡大に向けて、関係省庁と連携し、必要な制度整備や支援策について、今後議論を深めていきたい。

◇◇◇

活発な議論の結果、本会合で報告されたテーマは、いずれも単一の産業界や企業では解決できない重要課題であり、官民が連携し、産業界の垣根を越えて、日本のモビリティ社会の未来を切り拓いていくことで一致した。

未来のモビリティ社会の実現に向けた産業界の挑戦を加速させるべく、今後も継続的な議論と連携を深めていくことも確認した。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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