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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年11月27日 No.3707 TheCityUK セリックCEOと懇談

セリック氏(右から2人目)、中田副議長(同3人目)

経団連は10月27日、東京・大手町の経団連会館で、英国で最も著名な金融・関連サービス業界団体と評されるTheCityUKのマイルズ・セリックCEOらと懇談した。経団連側からは、中田誠司審議員会副議長/金融・資本市場委員長、松岡直美同資本市場部会長らが出席した。

日本のコーポレートガバナンス・コードがモデルとした、英国のコーポレートガバナンス・コードは、2024年、企業負担を減らす観点から、的を絞ったアプローチで改訂されている。

中田副議長は、日本政府が約10年前から推進してきたガバナンス改革が一定の成果を上げていると評価した。一方、株主偏重とも受け取られかねない利益分配やショートターミズムへの懸念といった課題があるとした。

日本でもコーポレートガバナンス・コードの第3次改訂に向け、25年秋から同コードのスリム化・プリンシプル化に関する検討が始まっていることに触れ、本来ソフトローであるはずの同コードが事実上のハードローとして運用されている実態を指摘した。

パッシブ運用の増加や議決権行使助言会社による形式主義的評価の影響等を背景に、企業が「株主・投資家へのエクスプレイン(説明)よりコンプライ(遵守)を選ばざるを得ない構造」があるとの見方を示した。

セリック氏は、英国のスターマー政権が規制のあり方について、リスク回避型から成長促進型への転換を図る方針を打ち出したことに言及。実際に競争当局トップを交代したこと、24年1月のコーポレートガバナンス・コードの改訂において重複排除と合理化を行ったことなどを紹介した。

過剰なルールが複雑化を招き、機械的・形式的な報告を助長することで、本来の説明責任が損なわれるリスクがあり、これを除くべきだと指摘した。

これに対し中田副議長は、気候変動関連はじめ、有価証券報告書等の開示項目が増加の一途をたどるなか、英国のように「合理化と実質化」を両立した制度運用が望ましいと強調。形式面の拡充が先行する現状に懸念を表明した。

英国政府による柔軟かつ成長志向での諸規制の見直しを参考に、企業が自信を持って株主・投資家にエクスプレインできる環境を整えるべきとの認識を示した。

その他、ESG(環境・社会・ガバナンス)評価機関や議決権行使助言会社に対する規制、実質株主の把握等を巡る課題について意見交換が行われた。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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