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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年12月18日 No.3710 第62回四国地域経済懇談会を開催

あいさつする筒井会長

経団連(筒井義信会長)と四国経済連合会(四経連、長井啓介会長)は12月3日、松山市内で「第62回四国地域経済懇談会」を開催した。経団連からは筒井会長、冨田哲郎審議員会議長、副会長らが、四経連からは長井会長をはじめ会員約120人が参加し、「共創と広域連携で切り拓く日本と四国の明るい未来~新たな時代の『坂の上の雲』を目指す」を基本テーマに意見交換した。

経済懇談会に先立ち開催した昼食懇談会では、中村時広愛媛県知事から「愛媛県における地方創生の取り組み」と題して講演を聴くとともに、四経連首脳を交えて意見交換した。

経済懇談会の開会あいさつで四経連の長井会長は基本テーマに関して、「思いを共有する幅広い主体が共に関与する」という意味の「共創」と、「行政区域を超えるレベルでの広域的な連携が重要」との考えから設定したと説明。司馬遼太郎氏の小説『坂の上の雲』になぞらえ、小説で描かれた明治期の国造りのように、日本や四国の明るい未来の実現を目指していきたいと述べた。

続いて筒井会長があいさつ。今後、「強い経済」を実現していくには、企業自らがマインドセットを変え、積極果敢に設備投資、研究開発投資、人的投資を拡大していくことが一層重要になると述べた。そのうえで、「私自身、経団連会長として、投資牽引型経済への転換に向けて、先導的な役割を果たし、将来世代への責任を果たしていく」と決意を示した。

■ 地域産業の持続的成長・発展と人口減少問題への対応

グリーントランスフォーメーション(GX)の推進、スタートアップ支援、若者に選択される労働市場に向けた取り組みなどに関し、四経連から問題提起があった。これに対して経団連から、

  1. (1)GX推進に向けて四経連では、「脱炭素推進研究会」の取り組みをはじめ、産学官連携のもと、地域に根差した脱炭素化のモデルが検討されている。今後の取り組み・発信に期待(小堀秀毅副会長)
  2. (2)経団連は、大企業とスタートアップの連携促進に向け、東京だけでなく、各地でもピッチイベントを開催している。四経連も「四国イノベーションピッチ」などに取り組んでいることを心強く思う(木原正裕副会長)
  3. (3)四経連による四国へのUIJターン就職促進は重要な取り組み。多様な人材が活躍できる土壌を地元企業と地域社会に根付かせ、都市部の企業からの「人の流れ」を創出することが求められる(小路明善副会長)
  4. (4)政府の「広域リージョン連携」の制度化は、経団連の「新たな道州圏域構想」と軌を一にするもの。ご当地でも「四国はひとつ」の理念のもと、4県の連携事例が生まれており、今後の進展に期待(永井浩二副会長)
  5. (5)企業税制は、地域産業の持続的成長・発展に大きく関わるものであり、経団連は企業の競争力強化や国内投資の拡大等の観点から、研究開発税制や設備投資税制などの重要性を主張している(時田隆仁副会長)

――との発言があった。

■ 交流人口拡大やDX推進のあり方

観光産業の活性化や、企業の生産性向上や地域の課題解決につながるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に関し、四経連から問題提起があった。これに対して経団連から、

  1. (1)四国では「四国の観光ビジョン」のもと、観光地域づくり法人(DMO)をはじめさまざまな組織が連携して広域での観光振興に取り組まれており、経団連の提言や取り組みとの共通点も多いことを心強く思う(野田由美子副会長)
  2. (2)四国には、1次産業、公共交通、観光など、デジタル技術の活用によって新たな価値創出が期待される分野が数多くある。経団連は、DX・AIの推進による生産性向上と地域の持続可能性向上に貢献したい(澤田純副会長)

――との発言があった。

■ 地方創生に欠かせず、災害にも強い高規格交通インフラの整備

四国新幹線や高速道路ネットワークの整備に関し、四経連から問題提起があった。

これに対して経団連の永野毅副会長から、国土強靭化に向け、道路や新幹線の整備といったハード面での対策に加え、人材確保や技術の継承などのソフト面の強化も必要であり、災害を平時から「自分ごと」として捉え、備えることが大切、との発言があった。

その後、経団連の泉澤清次副会長が、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)同様の国家的イベントであり、27年3月から開催される2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)の成功に向けて、機運醸成への協力を呼びかけた。

最後に冨田審議員会議長が、豊かな自然環境や特色ある歴史文化等の強みを生かしつつ、四国4県が一体となって、広域連携により、人口減少問題への対応や地域の魅力づくりを進めていることは、日本全体にとっても大変重要な示唆だったと総括した。

◇◇◇

今治造船西条工場

翌4日、一行は今治造船の西条工場(愛媛県西条市)を視察。船舶の組み立て工程を見学するとともに、造船業におけるDX推進や人材育成などについて意見交換した。

【総務本部】

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