経団連の筒井義信会長は12月1日、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所(新潟県柏崎市・刈羽村)を視察するとともに、新潟県庁で花角英世新潟県知事と面会した。永井浩二副会長、泉澤清次副会長、兵頭誠之副会長、久保田政一副会長・事務総長が同行した。
同発電所は、再稼働に向けた技術的な準備が整い、11月21日に花角知事が6号機・7号機の再稼働を容認すると判断した。今後、新潟県議会で知事判断の是非を議論することとされている。視察と面会の概要は次のとおり。
■ 柏崎刈羽原子力発電所6号機を視察
小早川氏(右から4人目)、稲垣氏(同1人目)、筒井会長(同5人目)
同発電所の稲垣武之所長から、緊急時の対応力強化や発電所内のコミュニケーション向上等、ソフト面の取り組みの説明を聴いた。その後、緊急時を想定した訓練、発電所構内にある消防センター、6号機の原子炉建屋内を含め、再稼働に向けた準備状況を視察した。東京電力ホールディングスの小早川智明社長らとの意見交換も行った。
1.稲垣氏説明
福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、現場や業務での気付きを日頃から洗い出し、原因分析と再発防止を徹底している。参加者へ事前にシナリオを明かさない訓練を180回以上、現場での個別訓練を3万3000回以上行うなど、緊急時に備えた実践的な訓練を継続している。運転員は、シミュレーターや稼働中の他社の原子力発電所での訓練等を行い、運転技能の維持・向上に取り組んでいる。
あいさつ運動や協力企業の朝礼への参加など、所長自らが対話を通じた信頼関係の構築に力を入れるとともに、各種媒体による広報、地域行事への参加、視察の受け入れなどを通じ、地元住民とのコミュニケーションを深めている。
2.意見交換
筒井会長は、東京電力や協力企業の方々が一体となったハード・ソフトの両面にわたる多重の安全対策への取り組み、現場で働く人たちの高い意識や気構え、緊急時の対応能力向上への強い姿勢に言及。再稼働に向けて引き続き安全が確保されることへの期待を述べた。
小早川氏は、設備対策だけではなく、最後は「人」であり、柏崎刈羽原子力発電所全体でワンチームとなって、安全に対する不断の取り組みを積み重ねていくと応じた。
■ 花角知事と面会
花角知事(右)と面会
筒井会長は、花角知事の長年にわたる丁寧な検討と再稼働容認判断への敬意とともに、首都圏の電力供給を支えてきた新潟県への感謝を伝えた。新潟県の地域振興に貢献すべく、新潟経済界との対話や交流の機会を設ける方向で検討を進める旨も述べた。
花角知事は、今後、県議会の議論があるため現時点で再稼働が決まっているわけではないと述べたうえで、再稼働について、県民の間で肯定的意見と否定的意見が大きく分かれており、不安感と不信感が多くあることを、消費地である首都圏の経済界に理解してほしいと言及した。
経団連には、原子力発電の必要性に関する啓発活動や、新潟県の地域振興について協力を要請した。
【環境エネルギー本部】
