細川氏
杉山氏
久保研究主幹
前嶋研究副主幹
経団連総合政策研究所(筒井義信会長)の米国研究プロジェクト(研究主幹=久保文明防衛大学校長)は12月24日、東京・大手町の経団連会館でシンポジウム「第2次トランプ政権下の日米関係を読み解く」を開催した。
前半は細川昌彦内閣官房参与が講演。後半は前嶋和弘研究副主幹(上智大学総合グローバル学部教授)がモデレーターとなって、細川氏と久保研究主幹、杉山晋輔経団連総研エグゼクティブフェロー(外務省顧問)の4人でパネル討議を行った。概要は次のとおり。
■ トランプ政権と米中対立に日本はどう向き合うのか(細川氏)
米中は対立から取引に変化している印象だ。米中取引に対してどう立ち向かうのかが日本の課題であり、米国自身の生産基盤が非常に脆弱になってきたことが日米協力のカギになる。
2026年は米中首脳会談が4回ある見通しで、とりわけ大事になるのが、4月のトランプ大統領の訪中だ。第1次トランプ政権の時も、いかに訪中の成果を誇示するかに執着しており、妨げになるようなことはなるべく避けたいという心情だろう。
メディアは関税率の応酬について報道しがちだが、本質は中国のレアアースと米国の半導体の対峙という構図だ。中国は20年に輸出管理法を作り、対等に戦える準備をしてきた。23年のガリウム、ゲルマニウムから始まり、グラファイトなどの規制を始めている。
25年10月の米中首脳会談についての私の評価は、圧倒的に米国が不利だ。フェンタニル対策や大豆購入で米国内にアピールできる材料を与えながら、レアアース対半導体では中国が実を得ている。
日本は半導体製造装置や材料で不可欠な存在として、米国側に頼りにされるよう仕掛けたい。
日本には今のところレアアースはないが、レアアース磁石は85%を中国が、15%を日本が作っており、強みとして自覚すべきだ。他にも小型モジュール炉(SMR)や艦船修理などの技術があり、これらは80兆円の対米投資にもつながってくる。
国際社会では、欧州、オーストラリア、韓国などと連携し、そのほかグローバルサウスとも、自律性・不可欠性というキーワードで結び付くことができるかが大きなカギになる。
■ パネル討議
久保研究主幹は、10月の米中首脳会談では米国から中国への半導体輸出許可や中国からの60万人の留学生受け入れなど譲歩が目立つ一方で、12月に発表された1兆7000億円規模の台湾への武器売却や、国家安全保障戦略の「台湾を巡る紛争を抑止することは優先項目」という記述など、米国には中国に優しい政策とそうではないものが共存しているとの分析を述べた。
杉山氏は、トランプ大統領は第1次政権から変わらず、関税政策や中国とのディールをしていると話した。違うことが二つあり、一つは再選を考えずに11月の中間選挙までが勝負と考えていること、もう一つは主要閣僚の交代がほとんどないことに象徴されるようにイエスマンを集めていること――と指摘した。
その他、会場の出席者からの質問を受け、米国社会全体の変化や、日本企業が台湾・韓国企業と連携していくことのメリットとリスクについても議論が交わされた。
