中原氏
経団連は1月14日、東京・大手町の経団連会館で、内閣府知的財産戦略推進事務局との意見交換会を開催した。同事務局の中原裕彦事務局長らから「AIの適切な利活用等に向けた知的財産の保護及び透明性に関するプリンシプル・コード(仮称)(案)」について説明を聴くとともに意見交換を行った。概要は次のとおり。
■ 検討の背景と目的
知的財産戦略推進事務局は、かねてAIを活用したイノベーションを推進する立場にある。一方で、昨今の生成AIの進化に伴い、著作権侵害等の懸念も高まっている。
そこで、2025年9月に全面施行された「AI法」や同年12月に閣議決定された「AI基本計画」に、適切な知的財産の保護と利活用につながる透明性の確保等の取り組みを進める方針を明記したことを踏まえ、本コードの検討を進めてきた。
EUの「AI Act」やわが国の「スチュワードシップ・コード」等も参考にしつつ、AI開発者・提供者と権利者・利用者との間で「共創関係」を構築することを目的としている。
法的拘束力を持たない「ソフトロー」(法律のような強制力はないが、行動指針として実務に影響する仕組み)と位置付け、「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則に従うか、従わない場合はその理由を説明する方式)を採用している。
■ 三つの原則
コードは主に次の3原則から構成される。
【原則1】生成AI事業者は、コーポレートサイト等に、透明性確保および知的財産保護に関する措置を開示する。具体的には、使用モデル、学習データに関連する事項、アカウンタビリティ、知的財産権の侵害を防ぐための技術的措置の有無などの概要を明示し、誰もが閲覧可能な形で公表する。
【原則2】自らの権利または法律上保護される利益のため、訴訟等の法的手続きを現在行っている、もしくは準備をしている権利者等からの開示請求があった場合、学習に用いられたデータセットに、その権利者から照会が行われたURL等の情報が含まれているか否かなどについて回答する。
【原則3】生成AIシステム・サービスを利用してコンテンツを生成した者から開示を求められた場合は、原則2と同様の内容への回答に応じる。
本コードは、事業者と権利者双方にとって、透明性と信頼性の高いAIの開発・実装を進めるための指針だ。今後、パブリックコメント等で寄せられた意見や要望を踏まえ、柔軟な検討を行いながら、関係者の理解を深めていく。
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その後の意見交換では、「技術進歩に応じたAI活用と知的財産・コンテンツ保護の両立」という理念と方向性について賛意が示された。一方で、海外事業者との競争条件の公平性をはじめ、対応に当たっての技術的制約や工数負担など、実効性・実務面での課題を指摘する意見が示された。
【産業技術本部】
