1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2026年2月5日 No.3716
  5. 首都直下地震に備えて

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年2月5日 No.3716 首都直下地震に備えて -政府の対策の方向性、企業の防災・減災事例を聴取/危機管理・社会基盤強化委員会

鎌原氏

経団連は12月18日、東京・大手町の経団連会館で、危機管理・社会基盤強化委員会(永野毅委員長、安川健司委員長、齋藤充委員長)を開催した。内閣官房内閣審議官で内閣府広域避難・計画推進室長を務める鎌原宜文氏から、首都直下地震対策の方向性について説明を聴くとともに意見交換を行った。委員企業3社からは防災・減災への取り組み状況を聴き、好事例の共有を図った。概要は次のとおり。

■ 鎌原氏講演

1.首都直下地震対策の体系と見直しの方向性

2015年の首都直下地震緊急対策推進基本計画の策定から10年が経過するに当たり、政府は首都直下地震対策の見直しを進めている。

新たな首都直下地震対策の方向性としては(1)首都中枢機能の確保(2)膨大な人的・物的被害への対応強化(3)迅速な復興・より良い復興への備え――が重要だ。

その前提として、国民、企業、地域、行政が「自分ごと」として捉え、平時から防災対策に取り組むとともに、各主体の参加および連携による総合的な防災力の向上が必要だ。

町会と域内企業による震災対策協議会の設置・共同防災訓練の実施、自治体と建設団体の間で人命救助や道路啓開等に関する協定の締結、相当数の従業員が消防団に加入している企業に対する「消防団協力事業所」の認定等の事例がある。

災害対応を効率化、高度化させるため、「防災デジタルプラットフォーム」の整備等、防災DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速も有効だ。

2.企業への期待

首都中枢機能維持の観点では、実効性のある事業継続計画(BCP)の策定が不可欠だ。現状、中堅企業の策定率は45.5%にとどまっており、サプライチェーン全体を見据え、取引先と連動したBCPの策定が求められる。

被害軽減の観点では、事業所の耐震化、家具や事務機器の転倒防止、着実な備蓄をお願いしたい。

地域との連携も重要だ。能登半島地震では物資仕分け、飲食や宿泊施設の提供に民間が関わり、自治体職員の負担が軽減した。

効果的な備蓄の一例としては、自治体の備蓄品を企業の倉庫で保管し、有事に企業の物流ルートで配送、あるいは自治体の倉庫スペースを企業に提供する代わりに保管品を被災者に提供するという協定の締結もある。

■ 企業事例

1.三井住友海上火災保険

経団連の「日頃から」「ともに」「スマートに」という防災の提言に沿った活動を展開している。

「日頃から」「ともに」の観点から、和歌山県白浜町で産学官民による「南海トラフ地震対応の最前線モデル推進協議会」に参画している。当社が蓄積している災害リスク情報やソリューションを地域のレジリエンス向上に生かすもので、将来的に他地域でも展開していく。自治体と協定を結び、有事に当社の損害調査情報を用いて罹災証明書を迅速に発行する支援も行っている。

「スマートに」の観点からは、降水予測や地形情報を用いた「車両水没アラート」配信の実証実験を進めている。

2.三菱地所

「ひと×まち防災訓練」と題し、消防や警察と連携した訓練を実施している。自社単体ではできない取り組みもあり、連携は有用だ。

大手町・丸の内・有楽町エリア内で約4万2000人と予測されている帰宅困難者にワンストップで情報を提供できるよう、千代田区と連携して24年に「災害ダッシュボード」の先行機能の社会実装を進めた。

25年7月のカムチャツカ半島地震時に初稼働したもので、ビルのデジタルサイネージでのNHK放送や帰宅困難者受入施設情報の表示、区のデジタルマップへのアクセス用二次元コードの駅構内での掲出などに取り組んでいる。

3.日本電気

BCPは策定だけでなく、絶えず検証などマネジメントを行うことが重要だ。

能登半島地震対応では、能登町でiPadを用いて現場の情報を共有する仕組みを試したが、操作性やサポートから十分使われなかった。一方で志賀町では、防災行政無線設備の保守点検のなかで稼働状況を可視化し、行政と共有する仕組みをつくり、成果を上げた。

効率的な避難計画作成や、要支援者の円滑な避難に役立つ避難行動支援サービスも提供している。「NEC避難行動支援サービス」は25年に「iFデザインアワード」のゴールドアワードを受賞した。

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

「2026年2月5日 No.3716」一覧はこちら