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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年2月5日 No.3716 最近のイラン情勢について懇談 -緊迫するイランの状況/日本イラン経済委員会

岩本氏

経団連の日本イラン経済委員会(井上和幸委員長)は1月20日、東京・大手町の経団連会館で最近のイラン情勢に関する懇談会を開催した。外務省の岩本桂一中東アフリカ局長から、最近のイラン情勢について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 中東情勢と米国の中東戦略の変化

中東全体では、イスラエル・パレスチナ問題が引き続き最大の焦点であり、停戦と復興支援の動きが進む。一方、イランの中東地域における位置付けは、依然として大きな課題だ。

イランは、これまでシリア、レバノンのヒズボッラー、ハマス、イエメンのホーシー派などへの支援を通じて、敵対するイスラエルの封じ込めを図ってきたが、シリアのアサド政権の崩壊と米国寄りの新政権の樹立は大きな痛手となっている。イランの核問題や経済制裁も解決の糸口が見えない状況だ。

米国は2025年12月に策定した「国家安全保障戦略」のとおり、西半球回帰に傾いており、中東の戦略的優先度が後退するとともに、石油の純輸出国として、石油・ガスよりも原子力、AI、防衛技術等の協力や投資を重視するようになっている。

■ 先行き不透明なイランの核問題

イラン核問題は、15年の核合意成立後、18年の米国離脱を境に停滞している。バイデン政権下でも進展はなく、第2次トランプ政権発足後の協議もまとまらず、25年6月の攻撃の応酬に至った。

その後、E3(英仏独)による交渉も決裂し、同年9月には国連制裁が復活した。制裁復活の直接的な影響は限定的との見方があるものの、米国の独自制裁が継続し、石油輸出先も中国等に限られており、イラン経済を取り巻く状況は不確実性を高めている。

日本はイランとの対話のパイプを維持し、交渉再開を促している。しかし、25年6月の米国・イスラエルによる攻撃の衝撃は大きく、核交渉再開には至っていない。米国は、イランの弾道ミサイル開発や中国の関与等への警戒を強め、さらなる関税措置や軍事的圧力を示唆しており、先行きが不透明な状況が続くことが予想される。

■ イラン国内の大規模デモ

こうした状況のなか、通貨安や物価高に対する国民の不満が高まり、デモが勃発した。当初、デモはテヘラン市内の商人らによるものだったが、その後はイラン各地に拡大し、特に26年1月8~9日には大規模な反政府デモが発生した。

イラン当局はインターネットの遮断などで情報を統制しており、実態把握は困難な状況だ。

現時点では、デモは事実上沈静化しているが、米国の動きを含め予断できない状況が続いている。引き続き、しっかりフォローするとともに、邦人保護に万全の措置を講じたい。

【国際協力本部】

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