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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年2月5日 No.3716 会社法改正に向けた論点 -経済法規委員会企画部会

齊藤氏

経団連は1月19日、経済法規委員会企画部会(大内政太部会長)をオンラインで開催した。

法務省は2025年4月から、法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会において、会社法改正に向けた検討を進めている。

こうしたなか、同部会の委員を務める京都大学公共政策連携研究部の齊藤真紀教授を招き、改正に向けた主要な論点について意見交換を行った。齊藤氏の発言概要は次のとおり。

■ 従業員等に対する株式の無償交付

従業員等に対する株式の無償交付に株主総会決議が必要かについては、三つの検討すべき点がある。

第一に、取締役と従業員の比較である。取締役への無償交付には報酬決議があり、一定の可視化が図られている。一方、従業員の給与は経営判断に基づき、全てを株主や市場に開示する仕組みはない。この点で、両者を同列に扱うことは難しい。

第二に、比較法の観点である。海外では、株式の発行には、原則として株主総会の承認を要するのが一般的だ。従業員向けの無償交付についても、株主の関与がないことに対し、海外投資家から警戒感が示される可能性がある。

第三に、有利発行規制の観点である。現行の規制は発行株式数の規模にかかわらず株主総会決議を必要とする。そのため、従業員等への無償交付についても、規模が小さくても、有利発行に該当すれば本来は特別決議が必要とされるべきだが、一定の範囲について、株主総会の普通決議で足りるという整理は、柔軟な制度と評価できる。一方で、株主総会決議自体を不要とすることを説得的に説明することは難しい。

■ 実質株主確認制度

実質株主確認制度の創設に関連して、金融商品取引法上の大量保有報告制度への違反に対し、議決権停止という制裁を導入できるかという課題がある。しかし、過去の法改正では法制面での調整ができず、実現に至らなかった。

こうした経緯を踏まえ、金融商品取引法の改正により対応することは難しく、実質株主確認制度の創設と併せて会社法の枠組みで実現することが検討されている。会社法に大量保有報告制度違反に対する制裁を組み込む考え方には賛同するが、どのような説明で制度化を図るかについては、難しい課題がある。

■ バーチャルオンリー株主総会

バーチャルオンリー株主総会については、従来の対面型株主総会の延長として捉えるのではなく、最初からオンラインであることを前提に、その特性を生かした運営のあり方を検討すべきだ。技術の発展を踏まえず、アナログな発想で規律を設けると、バーチャルならではの柔軟な運営の発展を阻害する恐れがある。

一方、現時点では技術が十分に成熟していない側面もあり、経営陣に都合のよい運営が行われていないかを参加者側から見極めにくい課題もある。法制度で公正な運営をどこまで担保すべきかが重要な論点だ。今回の改正で全ての課題を解決するのではなく、まず制度を導入し、運用を踏まえて段階的に見直していく発想が必要だ。

■ 事前確定型決議

事前確定型決議が提案されたのは、実質的に株主総会の決議要件を満たしているにもかかわらず、当日の些細な運営ミスで決議取り消しのリスクが生じ、会社が過度に準備やコストをかけざるを得ない実情があるからではないかと思われる。そのような負担を軽減する制度として期待されている点も理解できる。

一方、事前確定型決議を成立した決議として扱うのであれば、修正動議や質疑により決議が覆らないという整理まで含める必要があり、書面決議に近い制度になってくる。この点は従来の株主総会に期待されてきた役割を大きく転換するものであり、実務のニーズは理解しつつも、現時点では積極的な賛成には至っていない。

【経済基盤本部】

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