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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年2月5日 No.3716 中国の産業高度化政策の動向 -中国委員会企画部会

真家氏

経団連は12月23日、東京・大手町の経団連会館で中国委員会企画部会(鈴木健史部会長)を開催した。名古屋外国語大学外国語学部中国語学科の真家陽一教授から、中国の産業高度化政策の動向について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

中国政府は2015年に「中国製造2025」を公表した。

25年までに世界の製造強国の一つとなることを目指して、次世代情報技術、ハイエンド工作機械・ロボット、省エネルギー・新エネルギー自動車、電力設備、新素材、バイオ医薬・高性能医療機器をはじめ10の重点分野を設定した。

トップダウンによる政策支援、税制優遇等の財政支援、基礎研究への資源配分、人材の育成等を通じて、重点的に産業の育成を図ってきた。

中国製造2025について、米国はハイテク産業に巨額の補助金を投じるもので競争上不公平と強く批判し、米中対立の一因となった。

しかし、中国は着実に取り組みを進め、とりわけ、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー設備、レガシー半導体等の製造で大きな成果を上げ、キャッチアップ型の産業高度化に成功した。

一方で、先端半導体の製造をはじめ米国の規制などの影響を受けて技術力が不足している分野や、商用旅客機の製造など部品調達における海外依存度が高い分野も残されており、イノベーションの自立・自強という面では課題があると評価されることが多い。

こうした流れのなか、中国政府は23年に「新質生産力(新たな質の生産力)」を提起した。

労働投入が縮小、資本投入が限界に達するなか、科学技術イノベーションを中核として、全要素生産性の向上を通じた量的成長から質的成長への移行を目指す考え方だ。

戦略志向の基礎研究の推進や破壊的技術のイノベーション強化等を通じて、質の高い科学技術の供給拡大を図るとともに、次世代情報技術、AI、量子、バイオ等の新興産業・未来産業を育成・拡大し、現代化産業体系を構築していくこと、地域の実情に応じて差別化された発展を実現していく方針等が示されている。

中国は政策が主導する市場であり、こうした産業政策を的確に把握しなければ、重点産業や成長分野を正しく捉えることはできない。日本企業が中国ビジネスを進めるに当たり、中国の政策や市場動向に関する情報収集や分析力を強化することが不可欠だ。

地政学リスクが高まるなか、サプライチェーンの最適化を進めるとともに、競争・補完領域を見極めたうえで中国企業との連携を進めていくことが、今後の日本企業の競争力強化のカギとなるだろう。

【国際協力本部】

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