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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年2月5日 No.3716 時期外れの下院選挙区割りを巡る攻防 -ワシントンレポート

米国連邦議会下院の435の選挙区は、10年に1度行われる全米人口調査(直近は2020年)の結果に基づいている。

まず、全米50州にそれぞれが全人口に対して占める割合に合わせた数の選挙区が割り当てられる(どんなに人口の少ない州でも最低1選挙区は保証される)。これによって割り当てられた各州は州内の選挙区割りを行う。よって、区割りは人口調査に合わせて10年に1度行われるのが通例だった。

ところが25年、次の人口調査を待たずに26年秋の中間選挙に向けて、選挙区割りをやり直そうとする州が出た。

州内の選挙区はほぼ同人口となるのが必須条件だが、それさえ満たせば州政府は時の多数党に有利な区割りを行うことができることから、州議会と州知事が同じ党の州のなかには与党の連邦議席を最大化する時期外れの「ゲリマンダー」策に走るところが出てきた。

発端は25年夏に共和党議席が5議席増えると予想される区割りをテキサス州議会が可決したことだった。この区割りを巡る訴訟は連邦最高裁判所まで行ったが、合憲との判決が下った。マイノリティー票の影響力をそぐ目的であれば違憲だが、逆に今回のような明らかに党利目的の区割りは違法ではない。

これを受けて最大の民主党州であるカリフォルニア州が今度は民主党議席の5議席増加が見込まれる区割りを推進し、区割りの軍拡競争が始まった。

ゲリマンダー自体は今回のテキサス州で始まったものではなく、むしろ歴史的には民主党州の方が効果的に活用していたが、人口調査と切り離したという意味では共和党が先例を破ったといえる。

このように、一方の政党が圧倒的に優位な選挙区では、本選の結果は見えており、党内予備選で勝てる、より過激な候補が選出される傾向にある。結果、ますます連邦議会における分断は深まることになる。

一方で同じ共和党州のインディアナ州では州議会がトランプ大統領の不興を買ってまで新たな区割りをすることを拒んだ。党利より信念を優先する者もまだ残っている。

【米国事務所】

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