1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2026年2月5日 No.3716
  5. 排出量取引制度とGX政策の展望

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2026年2月5日 No.3716 排出量取引制度とGX政策の展望 -GX-ETS説明会を開催

若林氏

経団連は1月20日、東京・大手町の経団連会館で、GX-ETSに関する説明会を開催した。経済産業省GXグループの若林伸佳参事官から、詳細制度設計がパブリックコメント公募中(1月16日~2月14日)の排出量取引制度(GX-ETS)を中心に、わが国のグリーントランスフォーメーション(GX)政策の展望について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ GXを巡る情勢

日本のエネルギー自給率は15%と、G7では最低水準だ。エネルギーの純輸出国である米国等と異なり、再生可能エネルギー、原子力といった国産・準国産エネルギーを活用する重要度が高い。高止まりする化石燃料価格は労働生産性の上昇を打ち消し、実質賃金の停滞も招いている。

わが国のGXは当初から、脱炭素に加え、エネルギー安定供給と経済成長の同時達成を目指している。高市政権が経済対策の柱に据える危機管理投資、成長投資の一環として、GX投資への複数年度にわたる支援を揺るぎなく進めていく。

■ GX-ETS

投資支援策と併せて、カーボンプライシング(CP)を導入し、投資促進と財源確保を行う。これがわが国のGX政策の基本となる成長志向型CP構想だ。

CPの一つとして、2026年度からGX-ETSを法定化する。CO2の直接排出量が年10万トン以上の法人の参加と、排出量に相応する排出枠の保持を義務化する。300~400社程度が参加し、わが国の温室効果ガス排出の6割近くをカバーする制度となる見込みだ。

対象企業は、26年度以降、毎年度CO2排出実績を算定し、第三者機関の確認を得て国に届け出る。実績と同量の排出枠を翌年度中の期日までに電子口座に保有する必要がある。

排出枠は、経済影響に配慮し、政府が定める基準に沿った量を無償で交付する。各企業は交付された量と排出実績の差を市場で取引できる。

排出枠交付の基準は、各業種内で排出原単位の上位を目指すベンチマーク方式を基本とする。26年度に上位50%水準で始め、30年度には同32.5%水準相当を割り当てる。ベンチマーク対象とならなかった排出源は、年1.7%の削減を想定して割り当てる。

各社固有の状況を割り当て量に反映するため、(1)カーボンリーケージのリスクがある企業の不足分の一部補填(2)GX関連の研究開発費に応じた不足分の一部補填(3)事業所の新設・廃止、大幅な活動量変化の際の調整――等を行う。

排出枠取引市場は、27年秋ごろの開設を予定。産業構造審議会のもと、26年度に市場参加者や取引ルールの詳細を検討する。

排出枠価格が制度外の突発的事象で不安定化しないよう、上下限価格を設定する。26年度の上限価格は燃料転換コストを踏まえ4300円、下限は省エネコストと整合させ1700円(いずれもCO2 1トン当たり)とする。上限・下限とも毎年度「3%+物価上昇率」ずつ引き上げる方針だ。

■ GX需要の創造

自律的な脱炭素化には、高い環境価値を持つ製品が消費者に受け入れられ、流通する環境づくりも欠かせない。予算・制度総動員で取り組んでいく。

これまで自主的な排出量取引を試行してきたGXリーグは、サプライチェーン全体の排出削減、GX需要の創出を目指し、ルール作りに注力していく。参画要件を見直すとともにGX予算との連携も強化する。参画継続・新規参画をぜひお願いしたい。

【環境エネルギー本部】

「2026年2月5日 No.3716」一覧はこちら