経団連の東亜経済人会議日本委員会(飯島彰己委員長)は3月11~13日、東亜経済協会(黄教漳理事長)と共に第53回東亜経済人会議を台湾・台北で開催した。12日の本会議には日本側から約60人、台湾側から約80人が参加した。
国際秩序が大きく揺らぐなか、日台はこれまでの信頼関係を基盤に、相互補完的な強みを生かした経済連携の強化が求められている。こうした背景のもと、本会議では、日台経済関係のさらなる深化に向けた議論を行い、共同声明を採択した。概要は次のとおり。
■ 第1セッション
日台双方の経済情勢を概観した。台湾では、2025年に輸出入額および貿易黒字額が過去最高を記録し、米国が最大の輸出相手国となった。一方で、輸出の約75%を情報通信・電子部品が占めるなど、産業構造の偏りが課題と指摘された。
日本経済については、デフレ脱却と持続的成長に向けた基盤が整いつつあり、個人消費や設備投資の回復を背景に底堅く推移しているとの見方が示された。長期金利は上昇傾向にあるものの市場の信認は維持されていること、円安基調が継続し、株価は堅調に推移していることも紹介された。
■ 第2セッション
日台産業協力について、デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーントランスフォーメーション(GX)、医療・バイオテックの3分野を中心に議論した。
DX分野では、半導体を巡り、日本が素材・装置分野、台湾が製造・パッケージング分野に強みを持つ相互補完関係にあることを踏まえ、日台連携による競争力強化や、東南アジア等の第三国市場への展開に期待が示された。
半導体分野の人材不足や、重要鉱物の安定確保は共通課題であり、産学間および大学間の連携を通じた国際人材育成、重要鉱物の共同調達や代替材料開発、同志国・地域との連携強化の必要性が指摘された。
GX分野では、台湾側より、排出量取引制度(ETS)の導入やEUとの連携が紹介され、日本との協力にも期待が示されたほか、ネットゼロ政策はビジネス機会でもあるとの認識が共有された。
日本側からは、再生可能エネルギー拡大に向けた電力系統の強化と最適化の重要性、電力変換分野での日台技術連携の進展が紹介された。
既存火力の活用を前提としたアンモニア混焼の取り組みや、ESCO(Energy Service Company)事業やスマートモビリティを通じた需要側によるエネルギー最適化に期待が示された。
新エネルギーの社会実装における政府支援の重要性や、日台間でのカーボンクレジット制度整備、第三国協力の有効性についても認識が共有された。
医療・バイオテック分野では、台湾政府の主導によるサイエンスパーク整備により、全土が一体的なバイオパークとして機能していることが紹介されたほか、スタートアップ育成や投資環境整備の重要性が強調された。
日本側からは、半導体分野の日台連携の成功モデルを医療・バイオテックを含む他分野にも拡大させるべきとの意見が出された。医薬品が経済安全保障上の重要物資であることを踏まえ、日台が信頼性の高いサプライチェーンを構築することの必要性も指摘された。
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翌13日、飯島委員長ら一行は、最先端半導体分野の研究開発に強みを持ち、多くの高度人材を輩出する国立陽明交通大学と、台湾積体電路製造(TSMC)をはじめとする世界トップ企業の育成に貢献し、台湾の半導体産業や先端技術エコシステムの中核を担う工業技術研究院を視察した。
【国際協力本部】
