中村氏
経団連は3月25日、東京・大手町の経団連会館で労働法規委員会(冨田哲郎委員長、小路明善委員長、芳井敬一委員長)を開催した。タレンタの中村究専務取締役兼CFOから、同社のHR(人材)領域でのAI活用について、説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ HRでのAI導入
近年、ITやAIを採用、入社、育成、評価、退職者管理、後継者育成といったHR領域で活用することに期待が高まっている。
例えば、従業員の年齢構成や業務経験、人事評価、特技・資格などの情報を、AIが機械学習し、統計的に分析して活用することが可能だ。しかし、必要な人事データは各社の従業員の数しかなく、過去の上司による評価などのバイアスも含まれているという課題がある。個人情報の保護が求められ、AIを利用する際の倫理・法務・社会的問題に関する国際規制への対応も必要となる。
そこで当社は、第三者監査による公平性を確保したうえで、録画データから採用候補者の発話内容を分析し、社会人基礎力(コンピテンシー)を判定するグローバルなAI面接ツールを、日本総代理店として国内展開している。
■ AI面接
AIは候補者の録画された発言内容と文脈を解析し、社会人基礎力の行動特性を判定する。
仕事で求められる能力とは何かを定義し、(1)ストレッチ目標を掲げて達成する「達成意欲」(2)新しい分野に配属されたときに、腐らずにすぐ勉強して短期間で第一人者になる「学習意欲」(3)周辺の環境や状況が変わったときに、心折れずに素早く対応して一定の成果を出す「状況適応力」――などを見る。
(4)予期せぬ問題への対応力(5)分かりやすい構造的な話し方(6)非効率的な行動の改善(7)改善のための代替案の提案(8)最適な環境を自らつくり出そうとする外部への働きかけ(9)他者への配慮――の有無などもチェックする。
最終的に社会人基礎力を5点満点で判定し、過去の優秀人材との近似性から、母集団の上位何%に相当するかも算出する。
AIの判断基準の信頼性・妥当性・公平性・公正性を高めるとともに、忠実に面接官の判断を再現するには事前準備が必要だ。
プロの面接官が数万件の面接動画を見て評価した結果や、過去にAI面接を経て採用された数千万人の人材を追跡調査し、当時どのような回答をした候補者が実際に活躍したかを解析した結果をAIに学習させている。
AI面接システムを活用することで、採用面接の効率化も実現している。
■ 面接官との役割分担
AIは一般的な基準の判定に向いている。どの業界、職種、仕事に就いても、一定以上の成果を出すコンピテンシーはAIで判断したほうが早く、かつ正確だ。
一方で特定の業界や個社を選ぶ理由や、自社と合うかどうかのマッチングなどは、AIではなく面接官が判断してほしいと顧客には伝えている。
AIと人間にはそれぞれ得意分野があり、良い採用のためにはAIと人間の役割分担が重要だ。
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講演後、「HR部門におけるAI等の活用に関する報告書」について審議し、了承された。
【労働法制本部】
