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月刊 経団連 座談会・対談 科学技術力の強化と新たな価値の創造に向けて

久間和生
司会:経団連産業技術委員会企画部会長
三菱電機常任顧問

大西 隆
東京大学教授/日本学術会議会長/総合科学技術会議議員

小野寺 正
経団連産業技術委員会共同委員長
KDDI会長

大宮英明
経団連副会長
三菱重工業社長

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大宮英明 (経団連副会長/三菱重工業社長)
多様かつ高度な要素技術を最適に統合する能力は日本の強みといえる。今後は、高度な技術を世の中に浸透させる標準化戦略の推進が必要だ。国には新しい技術の量産化あるいは事業化に対する支援を拡充することが求められる。大学には、学生の基礎学力の強化を期待している。当社では、基礎的な技術、技能を徹底的にトレーニングし、ローテーションや海外派遣などにより得意分野や資質を見極めたうえで、イノベーションを担う人材を育成するよう工夫している。

小野寺 正 (経団連産業技術委員会共同委員長/KDDI会長)
デジタル化が進むなか、ソフトウエアの重要性が高まっており、「見えないモノづくり」が国際競争力強化の鍵となる。また、日本のビジネスモデルを世界に展開することを視野に入れながら開発を進めるなど、標準化・規格化に積極的に取り組む必要がある。ICTの利活用促進によりイノベーション創出は可能だが、技術の陳腐化が早いので、プログラミングの基礎教育を強化するなど、ICTリテラシーの底上げを図るべき。

大西 隆 (東京大学教授/日本学術会議会長/総合科学技術会議議員)
まちづくりの分野でも、高度な技術を途上国へ応用するケースが増えており、日本のわび・さびの文化などを活かし、要素技術の統合を図ると面白い。イノベーションとは、科学技術を社会システムのなかで活用し、新たな価値を生み出していくことである。横並びではなく、将来有望な最先端の研究開発に重点的な投資を行うことにより、大きな成果が生まれることを期待している。

久間和生 (司会:経団連産業技術委員会企画部会長/三菱電機常任顧問)
グローバル競争を勝ち抜くには、日本の強みである素材・部品技術とすり合わせ技術をさらに強化するとともに、ICTやナノテクノロジーの高度な利活用により、新たな価値を創造することが不可欠である。アジア諸国と連携した国際標準の取得も重要である。求心力のある司令塔がなければ国家は衰退する。イノベーション創出による成長戦略実現のためには、総合科学技術会議の司令塔機能の強化が急務だ。

  • ●日本の科学技術の強みを活かしたイノベーションの創出
  • さまざまな要素技術を統合する力が必要
  • デジタル化の時代は、ソフトウエアで差がつく
  • 戦略的な国際標準化の推進
  • 社会的有用性という観点から科学技術を評価する
  • ●科学技術イノベーションの推進に向けた産学官連携の強化
  • イノベーション創出に向けた産学官の役割分担および連携強化
  • アジアの成長を取り込むための大学・大学院改革
  • 事業化に向けた国の支援拡充が必要
  • 産と学の研究者交流を促進すべき
  • 日本の最先端設備を活用したイノベーション
  • ●イノベーション創出を担う人材育成の強化
  • 国民のICTリテラシーを向上させるための教育を
  • ●科学技術イノベーション政策の推進体制の整備
  • 宇宙、航空産業の活性化を図る
  • 第四期科学技術基本計画におけるICT、ナノテクノロジーの位置付け
  • 科学者の統一的見解を発信する仕組み
  • 強力な司令塔の実現

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