サプライチェーンの脆弱性やサイバー攻撃の脅威の顕在化、技術覇権競争の激化など、経済と安全保障を切り離して考えることがもはや不可能となる中、我が国では2022年5月11日に経済安全保障推進法が成立した。そこで、経済安全保障を巡る論点を俯瞰し、我が国として取り組むべき方針について議論する。
月刊 経団連 2022年 バックナンバー
2022年11月号
コロナ禍やロシアによるウクライナ侵略、頻発する自然災害などを背景に、平和な日常の重要性が人々に強く認識されることとなった。生活者の考え方は多様化し、消費を巡る価値観も変化してきている。こうした中、企業には「多様な幸せの実現」を起点にしたビジネス展開が求められつつあり、生活者とダイレクトに接点を持つ生活サービス産業は、生活者価値を起点とした社会形成の牽引役となることが期待されている。
経団連は2022年7月に報告書「ライフ・サービス・トランスフォーメーション(LX)」を公表し、消費の新たな潮流を整理し、生活サービス産業が克服すべき課題と変革の方向性を示した。
本特集では、生活者・企業を取り巻く環境や価値観の変化に関する捉え方と、LX推進に向けた企業の取り組みの方向性について探る。
2022年10月号
宇宙開発利用は、安全保障、災害対策や地球規模課題への対応、経済成長とイノベーション創出など、多面的な広がりを見せている。また、世界的に宇宙ビジネスの市場規模が拡大し、スタートアップを含む民間企業の参入や活動が活発化している。さらに、国際宇宙ステーション(ISS:International Space Station)長期滞在など日本人宇宙飛行士の活躍も続き、今後も月面や火星などの有人宇宙探査に照準を当てた様々なミッションが予定されており、宇宙空間における人類の活動領域の拡大にも期待が集まる。
2022年9月号
経団連は7月21、22の両日、軽井沢で夏季フォーラム2022(議長=中村邦晴副会長)を開催した。同会合には、十倉雅和会長、冨田哲郎審議員会議長をはじめ副会長、審議員会副議長40名が参加し、「サステイナブルな資本主義を実践する」を統一テーマに、講演や討議が行われた。特別セッションでは、岸田文雄内閣総理大臣が講演を行い、政策実行を含めた一層の官民連携の実現に向け、経済界への期待を表明した。討議結果は、「経団連夏季フォーラム2022行動宣言」として採択され、十倉会長・中村議長から岸田首相に手交した。
本特集では、講演要旨、行動宣言、討議テーマに関連した寄稿を紹介する。
広大な面積に豊富な資源を有するアフリカは、人口や中間層の増加に伴う消費市場の拡大など、今後一層の経済発展が期待される。また、2015年に採択された長期ビジョン「Agenda2063」において、貧困、インフラの未整備、水・食料不足、環境破壊等の様々な社会課題の解決に取り組む姿勢を明らかにしている。今般開催されたTICAD8でもアフリカが直面する課題解決に向けた方策が議論された。
こうした状況を踏まえ、経団連は今年5月に提言を公表し、我が国が官民連携により、内発的・持続的な発展を目指すアフリカを伴走支援し、経済社会の発展に貢献するための具体策を示した。本稿では、提言の概要および社会課題解決に関わる企業の取り組みを中心に紹介する。
2022年8月号
昨今の行き過ぎた資本主義により、生態系の崩壊や気候変動問題が顕在化している。こうした中、我が国は、2050年カーボンニュートラル(CN)、2030年度温室効果ガス46%削減という極めて野心的な目標にコミットしている。
その実現に向けては、国を挙げて、グリーントランスフォーメーション(GX)を進めていく必要がある。GXは、投資主導による成長戦略の柱であると同時に、産業革命以来の人類史を画する、経済社会の大規模な変革である。不透明な国際情勢のもと、エネルギーの安定供給を確保しながら、需給両面において脱炭素化を進める必要があり、国民と企業の行動変容も不可欠である。そのため、幅広い政策の遂行が求められ、国民理解の醸成も必須となる。
2022年7月号
本年度の定時総会は、感染拡大防止の観点から来場人数を例年より抑えたハイブリッド会合で開催し、オンライン参加を含め経団連会員企業の代表者ら約470名が参加した。2021年度事業報告および決算が報告されたほか、5名の新副会長を含む新体制を決定するとともに、2022年度事業方針および収支予算を承認した。
ロシアのウクライナ侵攻が既存の国際秩序に及ぼす影響をテーマに、21世紀政策研究所国際関係プロジェクト(国際秩序、国際法、米国、中国、欧州)研究主幹等を中心に主要諸国・地域の動向と日本への影響を総合的に分析する。
2022年6月号
スタートアップは社会課題の解決やイノベーションを生む仕組みとして最も優れたスキームの1つであり、世界各国でスタートアップ振興が積極的に進められている。我が国においても、キャピタリストや起業家の先駆者が道を切り拓き、制度面の整備も進められてきたものの、一足先にスタートアップ施策を打ち立てた諸外国との差は開く一方である。
このような状況を踏まえ、経団連では2022年3月に提言「スタートアップ躍進ビジョン─10X10Xを目指して」を公表し、持続的成長の新たな牽引役としてグローバル級のスタートアップを継続的に創出するとの目標を掲げた。
2022年5月号
「人権の尊重」は人類共通の不可欠な価値観である。「誰一人取り残さない」人間中心の経済社会の構築を目指す、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためにも、すべての国、組織、人々が人権を尊重する必要がある。
企業には、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を踏まえ、人権を尊重する経営が求められており、人権への取り組みは顧客との信頼関係や投資家による評価、採用競争力に影響するとの認識も高まりつつある。また、特定の地域での人権侵害を理由として経済制裁や貿易制限措置が行われている中で、レジリエントなサプライチェーン構築の観点からも、人権への取り組みの重要性が高まっている。
2022年4月号
2025年大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をメインテーマに、「人間のいのち」「地球のいのち」をめぐる未来社会のありようを展望する場として構想されている。
いままさに、世界中の人々の「いのち」が、新型コロナウイルスや気候変動という脅威にさらされている。こうした危機を脱するには、最先端技術をはじめ世界中から知恵を出し合い、さまざまなソリューションを提示するなど、「共に創っていく」ことが重要となる。
そこで、本特集では、「共創」の観点から多角的に本万博の特徴や全体像を概観する。そのうえで、その実現に携わる政府・地方自治体・経済界の取り組みを紹介するとともに、関係者の熱い思いを伝える。
2022年3月号
今年1月に公表した経営労働政策特別委員会報告では、SDGsの達成など社会課題の解決に労使が共に取り組むことの重要性を強調している。
また、人口減少下で迎えるポストコロナ社会に向けて、我が国の成長力を高めるには、「労働生産性の向上」「労働参加率の上昇」、成長分野等への「円滑な労働移動」を同時に進める必要がある。この実現のため、企業には、働き方改革の深化や、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、日本型雇用システムの見直し、主体的な学び直しの支援などが求められる。
2022年2月号
コロナ禍は資本主義の行き詰まりを顕在化させ、サステイナブルな資本主義への転換を迫っている。この転換を実現していくためのカギは、多様な価値の包摂と協創、即ちダイバーシティ&インクルージョン(D&I)にある。
このような課題認識のもと、経団連では、ポストコロナを見据えた「。新成長戦略」において、D&Iを加速するためのメルクマールとして「2030年までに女性役員比率30%以上を目指す」との目標を掲げ、女性のエンパワーメントに経済界として本気で取り組むとの姿勢を明らかにした。