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月刊 経団連

月刊 経団連2013年6月号

特集 成長戦略と財政再建、日本経済の将来針路を問う

巻頭言

わが国経済の持続的な成長の実現に向けて

大宮英明 (経団連副会長/三菱重工業会長)

円高の是正が進み、株価がリーマンショック前の水準を回復するなど、わが国には景気回復に対する期待感が満ちている。TPP(環太平洋経済連携協定)への参加は、経済成長に加え、日米同盟のさらなる深化とアジア太平洋地域の安定化にもつながるものと期待される。

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特集

成長戦略と財政再建、日本経済の将来針路を問う

「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」を経済政策の三本の矢と位置付け、矢継ぎ早の政策対応を打ち出す安倍政権。経済界としても三本の矢を受け止め、日本経済の再生に貢献していかなければならない。今月にも公表される政府の「成長戦略」や「骨太の方針」に向けて、あるべき成長戦略の姿、成長と財政再建の両立といった視点から、今後の日本経済の針路について、政府関係者を交えて議論した。

座談会:成長戦略と財政再建、日本経済の将来針路を問う

  • 西村康稔 (内閣府副大臣(経済財政政策担当))
  • 小島順彦 (経団連副会長/三菱商事会長)
  • 岡本圀衞 (経団連審議員会副議長・経済政策委員長/日本生命保険会長)
  • 伊藤元重 (東京大学大学院経済学研究科教授/経済財政諮問会議民間議員)
  • 久保田政一 (司会:経団連専務理事)

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西村康稔 (内閣府副大臣(経済財政政策担当))
政府は、スピード感を重視し「やれるものからやろう」という積極的な意気込みで、成長戦略に取り組んでいる。同時に消費税を確実に引き上げ、財政再建への道筋を付けていきたい。政府は「六重苦の解消」にも取り組む。競争力を強化し、民主導の経済成長が実現できるよう、経済界も体制を整えてほしい。

小島順彦 (経団連副会長/三菱商事会長)
日本は、世界における存在感を取り戻しつつある。大事なことは世界から日本が変わったと評価されることであり、TPP交渉参加を契機として、世界の成長を取り込むべきである。日本の今後の成長の余地は、まだまだ大きい。山積するさまざまな課題に対し、政府と日銀、経済界が一体となって取り組む必要がある。安倍総理の強いリーダーシップに期待する。

岡本圀衞 (経団連審議員会副議長・経済政策委員長/日本生命保険会長)
経済の先行きに明るさが見えるなかで、民間自身も変わっていくべき時にある。そのためにも、事業環境の国際的なイコールフッティングの確保が欠かせない。安倍政権の事業環境整備に向けた取り組みを期待する。加えて、財政再建も重要である。財政再建と経済成長の二つを同時に進め、後世にツケを残さない国をつくる必要がある。

伊藤元重 (東京大学大学院経済学研究科教授/経済財政諮問会議民間議員)
将来に向かって積極的に投資をし、国民や企業が希望を持てるようにすることが成長戦略の役割である。将来の産業の姿を明確に描き、前向きな企業行動を引き出していく必要がある。1000兆円の「眠った爆弾」が爆発するという、大きな財政リスクを抱えながら、少子高齢化社会を乗り切っていかなければならない。長期的な経済の持続性を担保するためには、財政健全化が必要である。まずは、消費税率10%までの引き上げと、2%のインフレ率の同時達成を目指すべきである。

久保田政一 (司会:経団連専務理事)

  • ●安倍政権の経済政策「三本の矢」への評価
  • 企業が活動しやすい国の実現に向けて
  • 民間経済の活性化と財政の健全化がポイント
  • 日本が存在感を取り戻すことに期待
  • 企業は「目利き力」のある人材の育成を
  • ●国内外から投資を呼び込むための成長戦略のあり方
  • 事業の海外展開により世界の成長を取り込むことが不可欠
  • 事業環境の国際的なイコールフッティングを
  • 海外に向かってオープンな社会の構築を
  • 「成長戦略」により国民や企業が希望を持てるように
  • ●「骨太の方針」への期待
  • 高齢化が進むなかで持続可能な社会の構築を
  • 効率的な財政運営に向けPDCAサイクルの確立を
  • 豊かさの追求と財政再建の両立を
  • 官民一体で課題の解決を

高齢化により、お客様の買い方が変わる
 亀井 淳 (イトーヨーカ堂社長)

  • 変化する消費の姿
  • 家族や友人とのコミュニケーションは、かけがえのない時間
  • お客様と小売業の双方向コミュニケーションを目指して

息の長い研究開発こそ日本企業の競争力の源泉
~数字だけに固執する経営では素材のイノベーションは起こせない
 日覺昭廣 (東レ社長)

  • 極限追究のDNA
  • 東レのグローバル経営
  • 数字だけではイノベーションは起こせない
  • 注目を浴びる日本の素材企業

デフレからの脱却と持続可能な経済成長
 吉川 洋 (東京大学大学院経済学研究科教授)

  • 潜在的ニーズに応えるモノやサービスの創造が成長の源泉

デフレ脱却・経済成長と財政健全化
 中里 透 (上智大学経済学部准教授)

  • 財政健全化目標の早期策定と歳出改革の工程表作成を
  • 「失われた20年」からの大転換の好機

アベノミクスの行方と日本経済
 片岡剛士 (三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員)

  • アベノミクスとは何か
  • 本格始動を始めた「大胆な」金融政策
  • 消費税増税に向けて

設備投資と日本経済
 薄井充裕 (日本政策投資銀行設備投資研究所長)

  • 五つの投資領域のリンケージ
  • エネルギー投資の戦略性
  • 投資環境整備・向上を

エネルギー・環境政策の再構築に向けて
 澤 昭裕 (21世紀政策研究所研究主幹)

  • スローガン的な政治・行政からは決別を
  • 短期的な検討課題
  • 残された課題は

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一般記事

成長戦略の実現に向けて
 米倉弘昌 (経団連会長)

【提言】 日本経済の再生に資する道州制の実現に向けて
http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/018.html
 畔柳信雄 (経団連副会長・道州制推進委員長/三菱東京UFJ銀行相談役)
 松下 雋 (経団連道州制推進委員会共同委員長/日本ガイシ会長)

  • 日本経済の再生に資する道州制
  • 早急に取り組むべき二つの課題

【提言】 産業の国際競争力強化に向けた物流施策のあり方
~次期総合物流施策大綱に望む
http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/032.html
 宮原耕治 (経団連副会長・運輸委員長/日本郵船会長)
 瀬戸 薫 (経団連運輸委員会共同委員長/ヤマトホールディングス会長)

  • 産業界が望む次期大綱策定の基本的な考え方
  • 産業の国際競争力強化の観点から重視すべき施策

【提言】 「労働者保護」と「企業活動の柔軟性確保」とのバランスがとれた労働政策の推進を
~労働者の活躍と企業の成長を促す労働法制
http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/033.html
 三浦 惺 (経団連副会長・労働法規委員長/日本電信電話会長)

  • 労使自治を重視した法制へ
  • 使用者の雇用保障責任ルールの透明化
  • 労働条件の変更ルールの透明化

【提言】 インフラ・システム海外展開の機動的かつ戦略的な推進を求める
~わが国技術の海外への普及と新興国のビジネス環境の整備を図る
http://www.keidanren.or.jp/policy/2013/035.html
 矢野 薫 (経団連審議員会副議長・国際協力委員長/日本電気会長)

  • 機動的かつ戦略的な推進体制の確立
  • 迅速かつ柔軟な資金供与
  • わが国技術・制度の戦略的な普及
  • トップセールスの推進と民間人材の活用

極東・東シベリア地域の発展に向けた日本企業との協力に対する大きな期待
~訪ロシア極東ミッションを派遣
 曽根貴史 (経団連日本ロシア経済委員会極東部会長/住友商事顧問)

  • 極東・東シベリア地域開発の気運の高まり
  • 事業環境整備の進展
  • 経済発展の潜在力の顕在化に向けて

連載

  • あの時、あの言葉
    夢八訓
    岡本英彌(TANAKAホールディングス社長)
  • エッセイ「時の調べ」
    支援を目的としない「聞き書き」の可能性~介護民俗学の実践
    六車由実(民俗研究者/デイサービス「すまいるほーむ」管理者・生活相談員)
  • 翔べ!世界へ―奨学生体験記
    UWCで学んだ大切なこと
    奥田紘子(竹中工務店開発計画本部)

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