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月刊 経団連 座談会・対談 日本経済の再生を担う人づくりのために

久保田政一
司会:経団連専務理事

川口清史
立命館総長・立命館大学学長

奥 正之
経団連副会長
三井住友フィナンシャルグループ会長

三島良直
東京工業大学学長

川村 隆
経団連副会長・教育問題委員長
日立製作所会長

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川村 隆 (経団連副会長・教育問題委員長/日立製作所会長)
日本経済が活力を取り戻すために、イノベーションを創出できる人材が、さまざまな分野で求められている。あわせて、企業のグローバルな事業活動が拡大するなかで、海外で活躍できるグローバル人材の育成も急務である。経団連としては、イノベーション人材、グローバル人材育成のために、奨学金やカリキュラムづくりなど、産学連携を進めている。今後は、社会人の学び直し(リカレント教育)の面でも、産学の人的交流を推進する必要がある。

三島良直 (東京工業大学学長)
東工大では、大学改革、特に教育改革にスピード感を持って取り組んでいる。育てるべき人材像は、産業界とも一致している。しかし、教育改革とは、教育の質を高めることにより、学生たちが目標を明確に持ち、熱意を持って学問ができる雰囲気を醸成することである。その意味でも、カリキュラムづくりの段階から企業にかかわってもらい、また、事業の現場で何が求められているのかといった具体的な話を講義してもらうなど、産学が連携することが必要である。

奥 正之 (経団連副会長/三井住友フィナンシャルグループ会長)
グローバル人材は、世界語としての英語力のほかに、世界の事象を分析し、内外の歴史、文化・文明を語ることができる教養を備えていなければならない。大学でも教養教育が見直されるべきである。金融業の産学連携は、これまでもインターンの受け入れや寄付講座などを通じて行われてきた。しかし、その効果の測定は十分になされていない。評価方法の確立が必要である。あわせて、TOEICのスコア以外で学生の現在位置を継続的に測る指標も、産学で考えていくべきである。

川口清史 (立命館総長・立命館大学学長)
グローバル人材やイノベーティブな人材の育成は、社会からの要請であり、これに応えることが私学の使命である。そのためには、時代に合わせて大学の教育内容を改革していく必要がある。学内外でマルチカルチュラルな体験ができる環境を整えること、課題解決型のPBLの導入や、語学教育の発展的改善、社会人の学び直し機会の提供など、今、私たち高等教育機関が果たすべき役割は非常に重要になってきている。産学官が連携して、新しい取り組みを進めていきたい。

久保田政一 (司会:経団連専務理事)

  • ●産業界が求める日本経済の再生を担う人材の具体像
  • 求められるイノベーション人材とグローバル人材
  • 海外でのビジネスには高い教養が必須
  • ●求められる大学の取り組み
  • 学生をやる気にさせることが大学改革の第一歩
  • 社会のニーズに応えることが私立大学の使命
  • 学生と教員双方の意識改革を
  • ●産学連携の推進に向けて
  • 企業はカリキュラムづくりの段階から協力を
  • 産業界で活躍できる理工系の博士人材を送り出す
  • 産学の人的交流の効果を測る仕組みを
  • 社会人の学び直しがフレキシブルにできる仕組みを
  • ●人材育成における今後の課題
  • 受験偏重の教育システムを見直すべき
  • 日本企業のダイバーシティー化が進むなかで
  • 留学生にとって日本企業に就職できることが魅力
  • 学生が「なりたい自分」になれるように

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