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月刊 経団連 座談会・対談 情報通信技術の利活用による経済再生を目指して

武山芳夫
司会:経団連情報通信委員会企画部会長
第一生命保険常務執行役員

遠藤紘一
内閣情報通信政策監(政府CIO)

越塚 登
東京大学大学院情報学環教授

内山田竹志
経団連副会長・情報通信委員長
トヨタ自動車会長

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内山田竹志 (経団連副会長・情報通信委員長/トヨタ自動車会長)
経団連がかねてから要望してきた番号法と政府CIO法が成立し、新IT戦略を実現するための環境は整った。政府CIOのリーダーシップのもと、共通番号制度を活用して、行政の業務改革を行い、国民が効果や利便性を実感できる電子行政が実現することを期待している。産業界も政府CIOを全面的にバックアップしていきたい。オープンデータ、ビッグデータに関しては、プライバシー保護とデータの利活用を両立させる環境を整備し、国民のコンセンサスを得ることが大切である。

越塚 登 (東京大学大学院情報学環教授)
新IT戦略には産業界が期待する内容が網羅されており、戦略の実行が日本経済の力になることは間違いない。ただし、イノベーション創出のためには、ターゲット型の政策のみならず、チャレンジのためのコストを下げることが必要であり、そこにITの活用が期待される。人材育成に関しては、大学、大学院を卒業するまでに何を教えるかだけでなく、一度社会に出て、具体的な課題を意識した時点で大学に戻り、ITに関する最新の知識・技術を学び直すことも有効だろう。

遠藤紘一 (内閣情報通信政策監(政府CIO))
CIOとして、ITを活用して、日本社会・経済を活性化すること、災害に強い国にすること、少子高齢化のなかで適切な福祉を実現することなどを政府から求められている。大きな課題であるが、いずれの課題もITが何らかのかたちでかかわってくるので、「できない」とは言えない。まずは、小さなことでも一つ一つ実現させていきながら、前例主義の霞が関の意識改革、心のイノベーションを行いたい。行政のデータのオープン化も、積極的に行っていく。今年度中に試行版「データカタログサイト」を公開する予定である。

武山芳夫 (司会:経団連情報通信委員会企画部会長/第一生命保険常務執行役員)
共通番号制導入後の次のステージとして、企業は共通番号の利活用を考えている。例えば、保険会社では、共通番号を新しいインフラ、ツールとして活用することで、顧客に対して効率的なサービスの提供が可能になる。IT人材の育成に関しては、高度な知識・技術を擁する人材の育成についてはこれまでも議論されてきたが、ITを道具として活用して新しいビジネスモデルを創出するような人材の育成はこれからである。ITにもビジネスにも強い人材を育成するためのプログラムを産業界から提言していくことが必要である。

  • ●政府の新IT戦略「世界最先端IT国家創造宣言」の評価
  • オールジャパン体制でIT戦略の推進に取り組む
  • ITを活用してイノベーションを創出する
  • 霞が関の意識改革を促すために
  • ●共通番号制度導入、政府CIO設置の意義と期待
  • 日本社会のさまざまな課題解決にITを活用する
  • 共通番号制度の円滑な導入を
  • 公共の効率化は世界各国の重要なテーマ
  • 新しいインフラとしての共通番号制度
  • 個人情報保護への配慮は必要
  • ●新産業・新事業の創出を担うオープンデータ、ビッグデータの活用推進
  • オープンデータによる行政の効率化、経済の活性化
  • 試行版「データカタログサイト」の公開
  • プライバシー保護とデータの利活用を両立させる環境の整備を
  • ●情報通信技術の利活用を担う人材の育成
  • IT人材育成は「量」と「質」の両面から
  • 行政の業務を熟知したIT人材が必要
  • 一度社会に出てから大学で学び直す
  • 新しいビジネスモデルを創出できるIT人材の育成を

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