1. トップ
  2. 月刊 経団連
  3. 座談会・対談
  4. いよいよ始まるマイナンバー制度

月刊 経団連 座談会・対談 いよいよ始まるマイナンバー制度 -ITの利活用による新しい社会基盤の構築に向けて

金子郁容
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授

五十嵐芳彦
経団連電子行政推進部会長
東京海上日動火災保険常務取締役

平井たくや
自由民主党IT戦略特命委員会委員長/衆議院議員

中西宏明
経団連副会長
日立製作所会長

PDF形式にて全文公開中

中西宏明 (経団連副会長/日立製作所会長)
マイナンバー制度の導入効果として、まず行政の効率化が挙げられる。高齢化が進むなか、医療・介護の高度化・効率化を進めることもできる。情報通信技術が身近になったこともあり、個人番号カードの普及が進めば、国民生活のさまざまな場面における利便性向上につながる新しいサービスが登場する可能性もある。経団連としては、社会保障・税番号制度としてのマイナンバー制度導入を成功させ、国民が具体的なメリットを感じ、制度としての信頼を得ることが重要だと考えている。

平井たくや (自由民主党IT戦略特命委員会委員長/衆議院議員)
マイナンバーを「国民の、国民による、国民のための番号」にしなければ普及しないと考えている。そのためには、しっかりとしたトラストフレームワークを構築したうえで、リスクとメリットを国民に提示し、国民の理解を得ていきたい。制度設計においては、現在のニーズに応えるだけでなく、将来にわたって活用できるように工夫している。人口一億人を超える国での全住民を対象に電子証明書を発行している国は、世界に類を見ない。壮大なチャレンジであるが、「今回がラストチャンス」という覚悟で取り組んでいく。

五十嵐芳彦 (経団連電子行政推進部会長/東京海上日動火災保険常務取締役)
経団連では、各社の部門をまたがる実務担当者が制度上の疑問点などを持ち寄り、内閣官房や国税庁、厚生労働省との意見交換を重ねてきた。こうした取り組みを踏まえ、より広く企業の実務担当者に参照してもらえるよう、「マイナンバー制度への対応のお願い」という文書を公表した。経団連としては、この制度が、国民にとって納得のいく新しい社会づくりにつながるよう、円滑な導入に向けて協力していきたい。

金子郁容 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)
マイナンバーには、「使われるようになるためには、便利でなければならない」「便利になるためには、使われなければならない」というジレンマがある。多くの国民が個人番号カードを持たなければ、本当に便利なツールにはならない。国民が「使いたい」と思えるような制度設計が求められる。今のところ医療機関の現場でマイナンバー自体を使うことは想定されていないが、二重投資を避けるために政府全体の情報基盤と共有できる部分は共有することを検討している。

根本勝則 (司会:経団連常務理事)

  • ●マイナンバー制度の導入に向けて
  • 豊かな国民生活の実現に向けたITの官民連携基盤として
  • マイナンバー制度実現までの長い道のり
  • トラストフレームワークの構築が鍵
  • ●行政を効率化し、国民の利便性を高める新しい社会基盤に
  • 国民の、国民による、国民のための番号
  • デジタルソサエティーを視野に利活用を考える
  • 国民に「使いたい」と思ってもらえるものにする
  • マイナンバー導入をテコに改革を推進する
  • ●情報保護の取り組み
  • リスクを前提に議論する必要がある
  • メリットとリスクを示し、コンセンサスをつくることが大切
  • ●医療分野への活用推進
  • 医療等ID(仮称)とマイナンバーは同時に進めるべき
  • ●実務上の対応準備を
  • マイナンバー導入に向けた経団連の取り組み
  • 個人番号カードを社員証として使ってもらいたい
  • ●利用範囲の拡大と民間利用の重要性
  • ロードマップを示して、民間活用を促進する

「2015年6月号」一覧はこちら

「座談会・対談」一覧はこちら