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月刊 経団連

月刊 経団連2015年7月号

特集 わが国経済外交のあり方

特集

わが国経済外交のあり方

これまでにない多様なリスクがグローバルに拡大、波及する今日、成長の基盤である国際社会の平和と安定をいかに維持し強固なものとするかが重要な課題となっている。こうした情勢のもとで、日本には自由や民主主義、基本的人権、法の支配、市場経済等の普遍的価値に立脚した積極的な外交を通じ、国際社会から高い信頼を勝ち取っていくことが求められよう。今年4月に経団連が公表した「わが国経済外交のあり方に関する提言」を踏まえ、経済外交のあるべき姿、経済界が果たすべき役割等について議論する。

座談会:わが国経済外交のあり方

  • 大林剛郎 (経団連経済外交委員長/大林組会長)
  • 宮家邦彦 (外交政策研究所代表)
  • 古城佳子 (東京大学大学院総合文化研究科教授)

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大林剛郎 (経団連経済外交委員長/大林組会長)
国際情勢は非常に不安定な状況であると認識している。今後、日本国内の市場の縮小が見込まれるなか、日本企業は、世界のマーケットに出て行かざるを得ない。今ほど政官民が一体となってグローバル化を推進する気運が高まったことはない。企業は自らリスク管理に万全を期すとともに、政府にはインテリジェンス機能のさらなる強化と積極的な支援を期待する。また、経団連としては、ミッションや国際フォーラムを通じた民間経済外交を積極的に推進したい。

宮家邦彦 (外交政策研究所代表)
冷戦終焉後、各地で民族主義が復活し、不健全なナショナリズムが台頭している。暴力的に現状変更を行おうとする国も出現し、世界情勢は極めて不安定な状態にある。日本はこうした巨大な変化のなかで生き残らなければならない。外交とは軍事以外の方法で国益を最大化する国際政治の技術である。こうした観点から、日本の経済外交に求められるのは、国家レベルの戦略のなかに経済を位置付けること、地政学的な視点を持ったエコノミストを育成することである。

古城佳子 (東京大学大学院総合文化研究科教授)
経済外交の目的には、資源・エネルギー・食料の安定供給を確保すること、海外に市場を確保し利益を国内に還元することなどがある。これを実現するためには安定的な経済秩序が必要であるが、グローバル化の進展により既存の国際制度が機能しにくくなっている。より自由で公正な開かれた市場を確保していくために、国際制度のルール・メーキングに積極的に日本は関与していくべきである。ルール・メーキングの場では経済力が発言力につながるため、政府と民間が協力して日本のプレゼンスを高めることが重要である。

椋田哲史 (司会:経団連専務理事)

  • ●わが国を取り巻く国際情勢に関する現状認識
  • 冷戦後の「民族主義」と「旧帝国的発想」の復活
  • 国際情勢は予測不可能な段階に入った
  • 日本の相対的なプレゼンスは低下
  • 不安定な状況は拡大する、
    政官民共同での危機管理を
  • ●経済外交の推進に向けた課題について
  • 日本の経済外交における企業の役割
  • 資源・エネルギー、食料安全保障の確保・強化を
  • 地政学的な視点を持ったエコノミストの育成を
  • ●経済外交における官民連携の重要性
  • 役所が「省益」を守る時代の終焉
  • 政府への民間の要望は一本化すべき
  • 危機管理などの「守り」とルール・メーキングなどの「攻め」
  • ●日本の経済外交のあるべき姿
  • ミッションや国際フォーラムを通じて各国官民メンバーとの連携を強化
  • 企業がリスクを取って、初めて政府も支援可能
  • 国際社会における日本のプレゼンス

「わが国経済外交のあり方に関する提言」を公表
~官民連携を通じた積極的な海外展開に向けて
http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/038.html
 大林剛郎 (経団連経済外交委員会共同委員長(当時)/大林組会長)
 中野和久 (経団連経済外交委員会共同委員長(当時)/出光興産会長)

  • 基本的な考え方
  • わが国を取り巻く環境に対する現状認識
  • 経済外交を通じて強化すべき基盤
  • 経済外交推進のための体制・能力の強化
  • 経団連の取り組み

海外進出企業の危機管理上の現状と課題
 有田礼二 (東京海上日動火災保険理事経営企画部部長)

  • 海外進出企業の危機管理の現状
  • 今後の課題

これからの経済外交とパブリック・ディプロマシー
 近藤誠一 (近藤文化・外交研究所代表)

  • 自国民を対象にしたパブリック・ディプロマシー
  • 経済以外の分野への配慮が重要

中国の「経済大国外交」との向き合い方
 津上俊哉 (津上工作室代表)

  • 強化の動機は何か
  • 日本企業は「しなやかに対応せよ」
  • 政府の経済政策はどう対応すべきか

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経団連総会

定時総会を開催

会長挨拶

豊かで活力ある日本を再生する
 榊原定征 (経団連会長)

来賓挨拶

経済の好循環に向け、生産性を高める新たな設備投資を
 安倍晋三 (内閣総理大臣)

2015年度事業方針

新副会長の抱負

今こそ「第三の改革」を!
 岡本圀衞 (日本生命保険会長)

企業自らの変革を通じた持続的経済成長に向けて
 永易克典 (三菱東京UFJ銀行会長)

グローバル競争社会における新たな発展を目指して
 宮永俊一 (三菱重工業社長)

持続的な日本経済の発展に向けて
 十倉雅和 (住友化学社長)

日本のために世界に尽くす
 飯島彰己 (三井物産会長)

経済成長に向け経済界の果たすべき役割を考える
 工藤泰三 (日本郵船会長)

経団連の新体制/政策委員長等/事務局機構図

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一般記事

日韓国交正常化50年を機に未来志向の協力関係を
 榊原定征 (経団連会長)

  • 期待される首脳会談の早期実現
  • 経済連携を通じて日韓はアジア経済発展に貢献を
  • 関係強化へ交流活性化を

【提言】
財政健全化計画の策定に向けて

~経済再生・社会保障改革なくして財政健全化は達成せず
http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/048.html
 石原邦夫 (経団連副会長・財政制度委員長(当時)/東京海上日動火災保険相談役)

  • 財政健全化目標達成に向けた基本的考え方
  • 経済再生が第一の課題
  • 社会保障改革
  • 「見える化」を通じた歳出の合理化
  • 歳入改革

【提言】
多角的自由貿易投資体制の再構築に向け提言

~TPPの先を見据えて
http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/050.html
 勝俣宣夫 (経団連副会長・貿易投資委員長(当時)/丸紅相談役)
 芦田昭充 (経団連審議員会副議長・貿易投資委員会共同委員長(当時)/商船三井相談役)

  • わが国が目指すべき通商戦略
  • 多角的自由貿易投資体制の課題と改革の方向性
  • 多角的自由貿易投資体制の再構築に向けた取り組み

「日本の国際競争力調査」結果
~ビジネス環境の一層の改善に向けた施策を
http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/049.html
 下村節宏 (経団連審議員会副議長・産業競争力強化委員長/三菱電機相談役)

  • 日本企業の国際競争力
  • 日本のビジネス環境
  • 事業活動の立地判断

日本とポルトガルをつなぐ「下張り文書」
~CPLPとの関係強化にらみ保存・修復にご支援を
 谷垣禎一 (日本ポルトガル友好議員連盟会長/南蛮屏風下張り文書修復実行委員)

  • 両国の協力・交流の大きな柱に
  • ルイス・フロイスの手紙も
  • ポルトガル要人との会見

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