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月刊 経団連 座談会・対談 企業活力の発揮と新たな社会経済の変化への対応を目指した社会資本の構築

根本祐二
東洋大学経済学部総合政策学科教授

宮本洋一
経団連審議員会副議長、都市・住宅政策委員長
清水建設社長

林 文子
横浜市長

工藤泰三
経団連副会長
日本郵船会長

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工藤泰三 (経団連副会長/日本郵船会長)
グローバルな物流に占める日本発着貨物の比重が低下するとともに、相対的に日本の港湾のプレゼンスは低下している。ソフト面ではサービスと効率性ともに高いレベルを維持しつつ、ハード面では選択と集中を進めていく必要がある。人口減少が進むなかで、物流の担い手確保は喫緊の課題となっている。トラックから内航船へのモーダルシフトを含め、人口減少下におけるインフラ、物流のあり方を考えるべきである。

林 文子 (横浜市長)
基礎自治体は、市民の皆様の暮らしの安全・安心をお守りしながら、持続的な都市の成長を成し遂げていかなければならない。超高齢社会の到来や人口減少を踏まえ、日々の暮らしに直結するインフラの保全と更新に向け、長期的な戦略を立てて取り組んでいる。同時に、経済活性化のため、文化芸術、観光・MICEといったソフト、道路や港湾整備といったハード、双方のインフラ整備に向けた投資をダイナミックに進める必要がある。

宮本洋一 (経団連審議員会副議長、都市・住宅政策委員長/清水建設社長)
少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や社会保障費の増加などによる財政制約が想定される一方、インフラの老朽化に伴う維持更新費用は増大する。社会資本投資においては、投資の誘発や、生産性の向上に寄与するインフラに戦略的に投資する必要がある。他方、PPPやPFIなど、民間の技術・ノウハウを活用することで、コスト削減や工期短縮を図ることも重要である。建設業界の担い手確保・育成については、処遇改善と生産性向上の2つの方針により対処していく。

根本祐二 (東洋大学経済学部総合政策学科教授)
これまで公共投資はピラミッド型で行われてきた。日本の場合、1回目の頂点は1970年前後であり、インフラの耐用年数を考えると、2020~30年に2回目の頂点をつくる必要がある。財政的な余裕がまったくないなかで、これまで「聖域」とされてきた学校や公営住宅の統廃合にも着手する必要がある。公共投資に民間の知恵を活用するためのPPP・PFIの推進や、固定費型から変動費型へのモデルチェンジも不可欠である。

根本勝則 (司会:経団連常務理事)

  • ●企業の活力を高めるために社会資本に求められる役割
  • サービス・効率性で高い水準にある日本の港湾
  • 老朽化したインフラの維持更新が課題
  • 2020~2030年に公共投資のピークをつくる
  • ●競争力を支えつつ、人口減少下に適したインフラ整備
  • インフラ更新は行財政改革のチャンス
  • 聖域に手をつける戦略的マネジメントを
  • 国際競争力のある港湾を
  • 民間企業の技術・ノウハウの活用
  • 港湾も選択と集中が不可欠
  • ●諸課題の解決に向けた方向性
  • 固定費から変動費に切り替えるようなモデルチェンジが必要
  • 対話の重視、官民の連携で成功モデルを
  • 小さくても機能を発揮できるインフラの開発を
  • 人口減少下での社会インフラのあり方を検討するべき
  • 建設業における担い手確保・育成と生産性の向上
  • 費用対効果の計測が不可欠
  • 官と民が交流する機会を増やすことが大切

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