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月刊 経団連 巻頭言 GDP600兆円経済への確固たる道筋をつける

榊原定征 (さかきばら さだゆき) 経団連会長

世界の政治経済情勢は、保護主義の台頭やナショナリズム志向の広がりが懸念されるなか、先行き不透明感を増している。このような時にあって、わが国は先頭に立ち、自由で開かれた国際経済秩序を維持・発展させ、世界経済の成長をけん引していかなければならない。同時に、政権基盤が安定している今だからこそ、社会保障制度改革や財政健全化、抜本的な規制改革など、国民の痛みを伴う改革に真正面から取り組むべきである。

経団連としても、政治との連携を一層強化しながら、デフレ脱却と経済再生を確実に実現し、GDP600兆円経済への確固たる道筋をつけるため、主体的に取り組む所存である。

第1に、政府が掲げた「日本再興戦略2016」の「官民戦略プロジェクト10」の実現に取り組む。成長戦略の柱であるSociety 5.0の実現に向けて、目指すべき世界を描いたうえで、具体策を提案していく。また、消費マインド喚起策の一環として「プレミアムフライデー」を実施し、働き方を見直しつつ消費を楽しむことを促していく。他のプロジェクトについても、早期具体化を図りたい。

第2に、地域経済の活性化に取り組む。各地で経済懇談会を開催し、自治体や地方経済団体による地方版総合戦略の遂行を後押しする。また、「地方創生に向けた経団連アクションプログラム」に基づき、地方経済団体との連携協定の推進、農業・観光の振興など、地域経済の成長力引き上げに協力する。

第3に、経済外交を積極的に展開する。米国については、現地事務所を拠点に新政権や議会との関係を構築し、経済関係の強化を図る。その過程で、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の発効を目指して、経済的・戦略的意義を訴えていく。欧州については、日EU EPA(経済連携協定)の早期実現を働きかけるとともに、英国のEU離脱にかかる企業の懸念事項への理解を求めていく。アジア諸国とも、緊密で互恵的な関係を強化すべく、官民リーダーとの政策対話を進める。

第4に、東京オリンピック・パラリンピック等の開催成功に向けて、国民のムーブメント醸成および全国的なレガシー形成を支援する。

今年も、経団連ビジョン「『豊かで活力ある日本』の再生」の実現に全力を尽くす決意である。皆様のご支援をお願い申しあげる。

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