消費の実感
景気回復期間が戦後2番目を記録した。また、月例経済報告によれば、個人消費も緩やかではあるが回復している。しかし一方で、景気回復を実感できていないという声も耳にする。 数値と実感との差は何によるものだろうか。一般的には、成長が緩やかであることとか、賃金の伸びが鈍いということがその理由として挙げられている。そこで、小売業に携わる者としてこの差について考えてみた。
景気回復期間が戦後2番目を記録した。また、月例経済報告によれば、個人消費も緩やかではあるが回復している。しかし一方で、景気回復を実感できていないという声も耳にする。 数値と実感との差は何によるものだろうか。一般的には、成長が緩やかであることとか、賃金の伸びが鈍いということがその理由として挙げられている。そこで、小売業に携わる者としてこの差について考えてみた。
長引くユーロ危機、大量の難民流入、相次ぐテロ事件など、複合危機ともいわれる困難な状況にあった欧州は、経済的には堅調さを取り戻すとともに、英国のEU離脱、トランプ米国政権の誕生を目覚まし時計として、統合の歩みをあらためて前に進めようとしている。米国との包括的な貿易投資協定であるTTIPが頓挫したのを埋め合わせるかのように、EUはわが国との間でEPA交渉を妥結させ、南米・アジア太平洋諸国とも交渉を進めている。本座談会では、欧州をめぐる情勢を概観するとともに、わが国と欧州との経済関係の発展の方向性を探る。
須網隆夫(早稲田大学大学院法務研究科教授/21世紀政策研究所「英国のEU離脱とEUの将来展望研究会」研究主幹)
EUは、リーマンショックからギリシャ債務危機が発生した2009年ごろまでは、ほぼ安定的に推移してきた。もともとEUの加盟国には、EUの権限が強化されることで自国の主権が制限されることに反発する人たちが存在しているが、国際金融危機後、彼らの勢力が強くなり、これがEUの構造的な脆弱性となっている。日EU EPAについては、交渉の妥結を非常に高く評価している。韓EU FTAを下敷きに、よりハイレベルな内容となっている。SPAとセットで締結されれば、経済秩序だけでなく、政治秩序の再構築にも大きく貢献できるのではないか。
小林 健(経団連副会長/三菱商事会長)
欧州は貿易相手としてのみならず、国際政治・経済・安全保障面でも重要なパートナー。今年1月に訪問したバルト3国・東欧諸国では、西欧に対する強い憧憬とともに、西欧との経済格差から生まれる悲哀を目の当たりにした。EUの権限強化に対する各国国民の反発等の構造的問題が顕在化し、EUが曲がり角にきていることを懸念する。米中が競う世界経済に向き合うには、日本は民主主義・法治国家・自由貿易等の価値観を共有するEUをパートナーとし、国際秩序の維持を引き続きけん引していかなければならない。そうした観点からも、日EU EPAの締結は非常に大きな意味を持ち、またアジアでの自由経済圏の構築を考えるうえでもマイルストーンになる。
早川 茂(経団連副会長、通商政策委員長/トヨタ自動車副会長)
欧州の自動車マーケットは、リーマンショック後の2013年を底に少しずつ回復を続け、米国を上回るレベルに達している。英国のEU離脱は、英国に工場を持ち、欧州に広くサプライチェーンを構築している企業にとって、大きなダメージとなりかねない。ポピュリズムの台頭が懸念されるなか、昨年フランスでマクロン大統領が誕生、さらにドイツのメルケル首相も大連立で政権を維持したことで、欧州分裂は当面回避できた。これを追い風に国際舞台でも欧州の今後のリーダーシップに期待したい。自動車業界としては、環境や安全、とりわけ自動運転に関して新たなルール形成が進むなか、日EUがリーダー役を務めることを期待している。
越智 仁(経団連ヨーロッパ地域委員長/三菱ケミカルホールディングス社長)
欧州は環境問題に対する意識が高い。率先してさまざまな規制を導入していることから、今後、国際社会での発言力を強めていくだろう。英国のEU離脱に関して、日本の政府、経済界はともに迅速な対応を行った。今後の離脱交渉は、とりわけ英国にとって厳しいものとなるだろう。日EU EPAに関し経団連は、韓EU FTA交渉開始直後から早期締結に向け働きかけを続け、その成果がようやく実った。なかでも、ビジネスヨーロッパとの間で、2012年以降6年連続で開催している「日EU業界対話会合」は、交渉妥結に大きく貢献したと自負している。
久保田政一(司会:経団連事務総長)
EPAをプラットフォームにEUと戦略的な協力関係を構築
佐藤義雄(経団連ヨーロッパ地域委員長/住友生命保険会長)
欧州複合危機は終わったか
遠藤 乾(北海道大学法学部教授)
欧州経済の光と影
伊藤さゆり(ニッセイ基礎研究所主席研究員/経団連21世紀政策研究所「英国のEU離脱とEUの将来展望研究会」研究委員)
欧州と一帯一路
山崎加津子(大和総研主席研究員)
英国のEU離脱――残り1年
清水 章(経団連ヨーロッパ地域委員会企画部会長/日立製作所業務役員常務)
動き出したEU防衛協力
-背景と現況
植田隆子(外務省欧州連合日本政府代表部元次席大使)
自動車分野における日欧規制協力の取り組み
川口 均(日本自動車工業会(JAMA)常任委員長)
日EU規制協力――医療機器業界の取り組み
内山 進(日本画像医療システム工業会(JIRA)国際部長)
日欧デジタル協力
-Society 5.0の実現に向けて
田中繁広(経済産業省通商政策局長)
【提言】
「ぴんぴん、ころり」が夢でなくなる日
-提言「Society 5.0時代のヘルスケア」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/021.html
山西健一郎(経団連副会長、未来産業・技術委員長/三菱電機取締役相談役)
小野寺 正(経団連未来産業・技術委員長/KDDI取締役相談役)
【提言】
戦略的なインフラシステムの海外展開に向けて
http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/020.html
飯島彰己(経団連副会長、国際協力委員長/三井物産会長)
遠藤信博(経団連審議員会副議長、国際協力委員長/日本電気会長)
【提言】
国民本位のマイナンバー制度への変革を求める
http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/009.html
大久保秀之(経団連行政改革推進委員会企画部会長/三菱電機常任顧問)
武山芳夫(経団連情報通信委員会企画部会長/第一生命情報システム会長)
ミャンマーとの経済関係強化に向けて
-ミャンマーにミッションを派遣
小林 健(経団連副会長、日本ミャンマー経済委員長/三菱商事会長)
朝田照男(経団連日本ミャンマー経済委員長/丸紅会長)
日韓オール財界で韓国若年人材の育成・活用に関するセミナーを開催
江頭敏明(経団連審議員会副議長、アジア・大洋州地域委員長/三井住友海上火災保険常任顧問)
東レ × Society 5.0 → SDGs
-命の水を生む特別な技術
Society 5.0の実現でより扱いやすい技術へ
東レ
経営者のひととき
So What
青柳俊彦(九州旅客鉄道社長)
Essay「時の調べ」
歌舞伎の魅力は「下世話の洗練」?
辻 和子(イラストレーター)