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月刊 経団連 巻頭言 デジタル技術を活かし、人間的で幸福な暮らしの実現と社会課題の解決を

中西宏明 (なかにし ひろあき) 経団連会長

昨年は多くの行事・イベントが続く年だった。令和の時代が始まる天皇陛下のご即位があり、大成功を収めたラグビーワールドカップに先立ち、日本で初めてのG20が大阪で開催され、経団連は先行して経団連会館でB20を主催した。多くの国々で政治と経済の不安定な状況が発生しているなかで日本経済は安定的な成長を続けていることから、日本は世界でもっとリーダーシップを発揮すべきとの声を聞く。

2020年を迎えるにあたり、わが国成長戦略の要であるSociety 5.0をしっかり社会実装していく決意を新たにしている。デジタル技術の強みを活かして、より人間的で幸福な暮らしを実現し、社会課題の解決を図っていくことでSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献することができる。

その実現にはこれまでの個別課題の解決だけでは不十分であることから、分野横断的な活動を展開するデジタルトランスフォーメーション会議の議論を進め、新たなルールづくり、制度改革の方向性を積極的に打ち出していく。産業構造の変革を進め、新たな挑戦を促す競争環境の整備にも果敢に取り組んでいく。

少子高齢化に伴う人口減少の課題を真正面からとらえて、国民の将来不安を解消し、安心で明るい未来の構築に向けた成長戦略・財政健全化・全世代型社会保障改革を一体的に図る「経済構造改革」の実現を目指す。

昨今の台風被害、特に集中豪雨等の異常気象から地球温暖化が一層進みつつあると認識せざるを得ない。経団連は昨年4月に「日本を支える電力システムを再構築する」を提言した。そこで指摘した諸課題と施策の実現に向けて、日本の化石燃料依存からの脱却を進め、地球規模の課題を日本がイノベーションで先導すべく、経済界が総力を挙げて取り組んでいく。

激動の国際情勢はその変化の速度を増しており、先を見通すことは容易ではない。そうしたなか、わが国の政治と経済の安定を強みに、自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化に向けた民間外交を展開し、グローバルな経済社会の安定と成長に貢献していきたい。

さらに今年は夏に東京オリンピック・パラリンピックが開催され、2025年には大阪・関西万博があり、多くの国々から多数のお客様が来日される。その成功に向けて皆様のより一層のご支援、ご協力をお願い申しあげる。

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