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月刊 経団連 巻頭言 今年は「決めて、動く」年に

片野坂真哉 (かたのざか しんや) 経団連副会長/ANAホールディングス社長

「令和」改元という時代の節目となった昨年、日本では国際的なイベントが数多く催された。

6月の大阪におけるG20首脳会議のほか、北海道倶知安町(ニセコ)にて開催されたG20観光大臣会合を含む各大臣会合、TICAD7(第7回アフリカ開発会議)など、外交イベントがめじろ押しであった。

加えて、地域・異文化交流の懸け橋となり、「ONE TEAM」を具現化したラグビーワールドカップや、天皇陛下即位の礼も挙行された。多数の訪日外国人を迎え、日本ブランドの高まりとともに、日本が世界中から大きな注目を集めた1年であったといえる。

経団連としても民間経済外交の推進に注力し、3月のB20東京サミット、私自身も参加した7月のエクス=アン=プロヴァンスでのB7サミットでは、世界が直面する諸課題に対処すべく各国経済界の結束を訴えた。

転じて2020年、今年の日本経済界が取り組むべきは何であろうか。

国内問題としては、経済成長・財政・社会保障の一体改革の道筋を確かなものにしていかなければならない。

また、Society 5.0に向けて、IoT、AIの進化、普及が加速するなかで、生身の人間がなすべきことが問われている。デジタルテクノロジー任せにできない、人間にしかできない仕事、それを担うことのできる人材を生み出すための抜本的な教育改革にも取り組む必要がある。

世界のなかの日本、とりわけ民間経済外交が果たす役割の重要性はますます高まってきている。

経団連外交委員長として最近思うところは、地政学リスクを含めたさまざまなリスクファクターは、すでに常態化している(ニューノーマル)とみるべきではないかという点である。

政治・経済・通商・安全保障・環境といった各分野の課題が相互に関連し合う今の時代、あらゆる外交課題を包含してとらえるとともに、過度な楽観論、悲観論を排し、世界情勢をつぶさに観察しながら、何か大きな変動が起きれば直ちに手を打てるように準備を怠らないことが肝要である。

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