イノベーションとは「新たな価値創造」であり、単なる技術革新ではない。革新的な技術であっても、社会的価値が低く、普及しなければ意味がなく、また価値が生まれても、技術に特異性がなければ、すぐに模倣される。
人口減少をはじめ、人手不足、環境負荷、CO2低減など社会課題は山積している。新たな価値創造のためには、解決すべき課題を深く掘り下げ、根本問題から正しく認識することが不可欠で、「技術中心」ではなく「課題解決中心」のアプローチにより、課題から必要な技術が明確になる。
コマツは、企業価値を「社会を含むすべてのステークホルダーからの信頼度の総和」と定義し、その最大化を経営の基本としている。ステークホルダーの中で、「企業価値を創る」と「企業価値を評価する」の両方の役割を担うのは、唯一「顧客」である。
コマツでは、顧客にとって「なくてはならない度合い」を高め、パートナーとして選ばれ続ける存在となることを目的に、顧客の現状の課題と実現したい理想状態を把握し、理想からバックキャストすることで、その実現を共に目指す顧客価値の創造活動をイノベーションの起点としている。
解決すべき顧客や社会の課題に対し、自社の強みを活かした商品開発や最先端技術の活用、複数技術の組み合わせにより、顧客のオペレーションをソリューションパートナーとして改革し、新たな価値を創造していくことこそがイノベーションである。
イノベーションのためには、①外部技術を積極的に取り入れる自前主義からの脱却、②世界中のスタートアップとのグローバル連携、③デザイン思考・AI・DX教育を通じてイノベーションを推進する人材の育成、④現場の課題を起点に顧客の声を反映したプロダクトやソリューション開発を重視する顧客視点と現場主義、⑤DEIの促進による多様な発想の創出、が欠かせない。
顧客価値創造により、社会課題の解決と企業価値の最大化を両立させることが、持続的成長を実現するイノベーションの本質である。