Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年6月28日 No.3091  関西会員懇談会を開催 -「決断と実行による日本の再生」をテーマに意見交換

関西地区の会員企業代表者約370名が
出席した関西会員懇談会

経団連(米倉弘昌会長)は13日、大阪市内で関西会員懇談会を開催した。懇談会には、米倉会長はじめ審議員会議長、副会長、関西地区の会員企業代表者約370名が出席し、日本が再生するために取り組む課題について懇談した。

開会あいさつで米倉会長は、取り組むべき課題はすでに明らかであり、求められているのは「決断」と「実行」であると述べるとともに、わが国が直面している重要課題のなかでも特に、(1)震災からの本格的復興(2)社会保障と税の一体改革および財政の健全化(3)民間活力による経済成長の実現――の3点に積極的に取り組むとした。

続いて、今月5日の定時総会で選任された荻田伍副会長、石原邦夫副会長が新任あいさつで抱負を語った。

■ 活動報告

第1部の活動報告では小島順彦副会長が、経済成長と財政再建の同時達成に向け、震災復興、国際競争に向けた事業環境整備、イノベーションの促進、規制改革の推進、海外需要の取り込みなど諸施策の総動員と財政再建への取り組みを政府・与党に強く働きかけていることを報告した。

渡辺捷昭副会長は、国際競争力を確保するため、「ものづくり力」とサービス産業・文化産業・情報通信技術の融合により新たな価値を創造する必要があると述べ、イノベーション立国に向けた経団連の考え方を説明した。

斎藤勝利副会長は、少子化対策として、国として人口1億人を確保することを強く前面に打ち出すべきと主張し、ワーク・ライフ・バランスを積極的に推進する考えを示した。

奥正之副会長は、社外取締役選任の義務化など法制審議会における会社法改正の検討状況について報告。会社法において拙速な対応をすべきでないとする企業経営のダイナミズムを重視した経団連の考え方を説明した。

宮原耕治副会長は、国際競争力の観点から港湾の機能強化の必要性を強調、昨年3月の保税搬入原則の見直しなどの成果もあるものの、さらなる港湾諸制度や輸出入制度の改革と改革推進体制の整備を図る必要があるとの考え方を示した。

畔柳信雄副会長は、国を挙げて経済成長と財政再建に取り組むなか、道州制の実現により、地域が主体的に成長戦略を描けるようにし、国・地方を通じた行財政改革を行う必要があると指摘。地方分権改革シンポジウムや主要政党の政策責任者から検討状況を聞く国民会議の開催等について報告した。

勝俣宣夫副会長は、経済を活性化する経済連携の推進について、早期のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加を梃子にASEAN+6経済連携協定、さらには、APEC規模の経済統合を目指すとの考えを示し、TPPに対する国民の理解促進等の取り組みを報告した。

渡文明審議員会議長は、国際社会の信頼を回復し、投資を呼び込むためにも災害に強い経済社会の構築が必要であり、企業が取り組むべき課題や行政に求められる役割について報告した。

大宮英明副会長は、昨年12月の官房長官談話による武器輸出三原則の見直し、国会審議中の宇宙政策の体制整備に関する法案など、防衛・宇宙政策の動向について報告した。

電力需給対策や観光振興など

■ 自由懇談

自由懇談では、関西地区を代表して、大阪製鐵の永広和夫社長、京都銀行の柏原康夫会長が発言。永広氏は、経済や国民生活への影響も勘案した電力供給のベストミックスや温暖化対策の必要性、さらには今夏の電力需給対策として安全性が確認された原子力発電所の再稼働の重要性を訴えた。

柏原氏は、観光振興に向けた京都の取り組みを説明するとともに、観光に資するインフラ整備として、リニア中央新幹線の東京・大阪間の同時着工と京都駅設置の重要性を訴えた。また、関西の産学官が整備を進める「けいはんな学研都市」への経団連会員の協力を求めた。

これらの発言に対し、西田厚聰副会長は、政府の今夏の電力需給対策に最大限協力するとともに、安全性が確認された原子力発電所については、地元自治体の理解を得て再稼働を進めるべきと述べた。また、安定的かつ経済性のある価格での電力供給の道筋の指示、企業に過度な負担を課さない温暖化対策、現実的な中長期のエネルギー政策の策定を政府・与党に求めていく姿勢を示した。

また、大塚陸毅副会長は、政府の新たな観光立国推進基本計画の概要を紹介、経団連も計画達成に向け、人材育成や民間外交も含め、できる限りの取り組みを進めると述べた。また、今後の観光では広域連携が必要であり、インフラ整備の早期実現にも関西での意見集約が重要と指摘。「けいはんな学研都市」については積極的に連携を進めるとの考えを示した。

懇談の最後に関西電力の森詳介会長が発言。今後のエネルギー政策において、生産コストが企業活動や国民生活に及ぼす影響について十分に勘案する必要があるとの認識を示した。また、「けいはんな学研都市」を含む「関西イノベーション国際戦略総合特区」、大阪駅北地区「うめきた」開発への多くの経団連会員企業の参加を呼びかけた。

総括した米倉会長は、「行動する経済団体」として、わが国の再生に向けた民主導の取り組みを全力で推進する決意を述べ、関西地区の会員企業の協力を強く求めた。

【総務本部】