1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2012年9月20日 No.3101
  5. 提言「タイにおける大規模洪水の事後措置の拡充を求める」を公表

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年9月20日 No.3101 提言「タイにおける大規模洪水の事後措置の拡充を求める」を公表 -タイ政府にビジネス環境向上小委員会の場で提出

経団連の日タイ貿易経済委員会(小林栄三委員長、伊藤一郎共同委員長)は3日、提言「タイにおける大規模洪水の事後措置の拡充を求める」を公表し、タイ政府に直接提出した。同提言は、昨年秋にタイで発生した大規模洪水以降、その再発に対する懸念から、リスクに備えるための企業のコストが増大していることを踏まえ、タイ政府の対応の加速と改善を求めたものである。
提言の主な内容は次のとおり。

1.治水対策とインフラ整備の着実な推進

企業にとって安定的な事業環境を維持するため、工業団地内とその周辺の防水堤や排水設備、運河等の整備を加速するとともに、災害時に適切な情報を提供できる体制の確立を求める。

2.自然大災害保険(CIP)の拡充

洪水で多大な損害を負った民間保険会社が従来どおりの洪水保険を提供することが困難となっている状況を踏まえ、タイ政府は今年3月に、政府資金による保険基金を原資とする自然大災害保険(CIP)を導入した。今後、より多くの企業がCIPを活用できるよう、次の制度改善を求める。

  1. (1)保険が実際に支払われるための条件の明確化
  2. (2)洪水発生時に支払われる保険金額の引き上げ
    大企業に対しては、企業が別途加入している総合火災保険の保険金額30%まで支払い可能となっているが、これを100%まで引き上げるよう求める。
  3. (3)CIPの支払いを実際に負担する保険基金の財源の明確化
    再保険の状況や、基金の総額である3000億バーツ(約7500億円)を超える被害に対する対応の明示を求める。
  4. (4)一律1.25%となっている保険料率の柔軟化
  5. (5)英文の約款の公開

要望受けタイ政府代表が今後の対応策を説明

以上の要望は、同日バンコクで開催された「ビジネス環境向上小委員会」の場で、日タイ貿易経済委員会のメンバーから、タイで対内投資を担当するタイ投資委員会のアチャッカー長官をはじめ、タイ政府関係者に直接説明した。この小委員会は、日タイ経済連携協定(JTEPA)に基づいて設置され、年に一度、日タイの官民が揃ってビジネス環境上の課題について協議しているものである。

当日は、提言に対し、タイ政府の代表から、各工業団地の堤防整備を着実に進めており、今後も積極的に取り組んでいきたいとの説明があった。CIPについては、カバー率の50%への引き上げはすでに合意されており、100%への引き上げについても事例ごとに検討したいとの回答があった。また、英文約款の公開に迅速に対応することが明言されるとともに、保険料率の柔軟化についても今後検討したいとの説明があった。

◇◇◇

日タイ貿易経済委員会では、本件のフォローアップを含め、引き続きタイのビジネス環境整備に取り組んでいく。

【国際協力本部】

「2012年9月20日 No.3101」一覧はこちら