経団連は9月25日、東京・大手町の経団連会館で、宇宙開発利用推進委員会企画部会(笹川隆部会長)・宇宙利用部会(西村知典部会長)合同会合を開催した。当日は、文部科学省研究開発局宇宙開発利用課の柳孝課長から、新たな宇宙基本計画に向けた文部科学省の取り組みについて説明を聞くとともに意見交換を行った。説明の概要は次のとおり。
■ 文部科学省における宇宙開発利用の取り組み
文部科学省は、宇宙科学・宇宙探査、衛星利用、国際宇宙ステーションへの参加、産学官連携などに取り組んでいる。
最近のトピックスとしては、東日本大震災において陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)が、津波の被害状況の把握などに貢献した。「だいち」は昨年5月に運用を停止し、現在は来年度の打ち上げに向けて後継機(ALOS‐2)の開発を進めている。
また、小惑星探査機「はやぶさ」は、世界で初めて月以外の天体からの試料の採取に成功して地球に帰還した。現在は2014年度の打ち上げに向けて「はやぶさ2」の開発を進めている。
■ 新体制下における文科省の役割
今年7月に政府の宇宙開発利用推進体制が大きく変更され、内閣府が司令塔として宇宙政策の方向性を決めることになった。また、宇宙政策を審議する宇宙政策委員会が内閣府に設置された結果、文科省の宇宙開発委員会は廃止された。
さらに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の主務省は文科省と総務省であったが、今回の体制変更で経済産業省と内閣府を加えた。
そこで、文科省としての役割などについて検討し、9月21日に科学技術・学術審議会研究計画・評価分科会の宇宙開発利用部会は「文部科学省における宇宙分野の推進方策<中間取りまとめ>」を発表した。
中間取りまとめでは、新体制での文科省の役割は、「宇宙を知る」「宇宙を支える」「宇宙を使う」に貢献することとしている。
「宇宙を知る」とは、研究開発により宇宙のフロンティアを拓くことであり、宇宙科学や宇宙探査における取り組みである。「宇宙を支える」とは、技術基盤の強化、技術と実利用の結び付け、人材育成などにおける取り組みである。「宇宙を使う」とは、科学技術・学術分野における宇宙利用の推進と宇宙利用拡大への貢献である。
<意見交換>
出席者からの「文科省として、『宇宙を支える』と『宇宙を使う』をどう連携させるのか」との質問に対し、柳課長は、「中間取りまとめにあるとおり、学術研究の拠点である大学を所管する文科省の強みを活かし、産業界と連携しつつ成果の最大化を目指す」と答えた。
【産業技術本部】