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  5. 日メコン地域協力の強化に向けた提言公表

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年10月25日 No.3106 日メコン地域協力の強化に向けた提言公表 -広域経済圏形成へ連携性強化など協力要望

経団連は16日、「日メコン地域協力に関する提言」を公表し、関係各方面に建議した。わが国の成長戦略上、アジア諸国の成長とわが国の成長の好循環を形成していくことが重要となるなか、2015年に予定されるASEANの経済統合、ミャンマーの民主化の進展、新興国の労働コストの高騰等を受け、優良な労働力の供給地や将来性のある消費市場としてのメコン地域に対する関心がにわかに高まっている。現在、政府においては、メコン地域の広域インフラ整備のためのODA予算の配分も検討しているところであり、11月18~20日の日程でカンボジアにおいて東アジアサミットが開催される機をとらえ、メコン地域協力に関する政府への要望を取りまとめた。

提言は、域内の均衡ある発展を促進し、広域経済圏を形成していく観点から、ハード・インフラの整備、ソフト・インフラの整備、産業政策面での協力を主要な柱として掲げている。主な内容は次のとおり。

1.ハード・インフラの整備

東西経済回廊や南部経済回廊をはじめとする輸送インフラと、電力や上下水道、情報通信等の基本インフラの整備に官民挙げて協力していくことが不可欠である。資金調達面では、国際協力機構(JICA)や日本貿易保険(NEXI)、国際協力銀行(JBIC)等の機能を活用して民間金融機関のリスクテイクを補完しながら、今年4月の日メコン首脳会議で政府が提案した57件にわたる主要インフラ案件を、優先度の高いものから早期に具体化していくことを求める。

2.ソフト・インフラの充実

貿易円滑化のため、わが国で活用されている輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)等を域内で早期に導入するなど、税関手続きを改善するほか、輸送インフラの整備にあわせて、越境交通協定の適用範囲を拡大することを求める。また、安定的なビジネス基盤を整備すべく、JICA等のスキームを活用した法制度の整備や、わが国と整合性のある規格や基準の導入、さらには、民間の活力を活用してインフラ整備を促進するため、PPP(官民パートナーシップ)法制の早期導入が不可欠である。加えて、貿易投資を促進する観点から、11月の東アジアサミットにおいて、東アジア包括的経済連携協定(RCEP)の年内交渉開始を確実に合意することに加え、再協議を迎えている日タイEPAの高度化、日ミャンマー投資協定の早期締結を求める。

3.産業政策面での協力

各国の多様性を活かした安定的な経済発展を実現する観点から、ベトナムの工業化戦略策定や、官民合同による日越共同イニシアティブの協力事例を参考に、カンボジア、ラオス、ミャンマーにおいても二国間の官民政策対話の枠組みを設け、成長戦略策定やビジネス環境の整備に協力すべきである。さらに、各国の産業集積を促進すべく、関連インフラの整備に加え、必要な規制緩和や税制優遇措置等に関する助言を行うなど、経済特区の開発にも積極的に関与することを求める。また、各国で不足している産業政策に精通した政府人材や即戦力となる企業人材の育成に向け、政府間の交流の活発化や専門家の派遣、JICAや海外産業人材育成協会(HIDA)のプログラムの拡充等が不可欠である。

4.関係機関の連携強化

メコン地域の開発は複数の国にまたがるだけでなく、多様な機関が関係することから、関係国政府やASEAN、アジア開発銀行(ADB)、東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)等が連携を強化し、開発戦略の一貫性を確保していくことが重要である。経団連としても、メコン地域の政府首脳や政策担当者、現地経済界等との政策対話を強化していく。

【国際協力本部】

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