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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年2月21日 No.3120 「『知的財産政策ビジョン』策定に向けた提言」を公表 -国内外の知財基盤の強化と体制整備を求める

経団連は19日、「『知的財産政策ビジョン』策定に向けた提言」を公表した。提言は、政府の知的財産戦略本部が4月上旬に今後10年を見据えた知財戦略のあり方を「知的財産政策ビジョン」として取りまとめることを受け、これに反映させる産業界の意見を示したもの。概要は次のとおり。

1.基本認識

企業の競争力は、技術力に加え戦略的なビジネスモデルの構想力が決め手になっており、知財がその要素としてより重要になっている。政府には、企業戦略に応じた柔軟な知財制度の設計を期待する。また、わが国企業の海外展開が加速し、海外企業との訴訟リスクも高まっていることから、海外展開に対する政府支援策の強化が求められる。

2.わが国における「知的財産創造サイクル」の強化に向けて

  1. (1)「知の創造力」の強化
    わが国から新しい“知”を生みだすためには、民間の研究開発意欲を促進することが重要であり、研究開発促進税制の拡充や知的財産に関する所得課税を軽減するパテントボックス税制の導入など税制面での支援が必要である。あわせて、政府の行う研究開発については、総合科学技術会議の下での府省横断国家プロジェクトの推進などが必要である。

  2. (2)「知の保護力」の強化
    グローバル競争が激化するなか、知財面での事業リスクを軽減することや、企業戦略に合致した制度設計とすることが肝要であり、職務発明の法人帰属化や特許審査の多段階化などが求められる。また、わが国企業の営業秘密・技術情報が海外の競合企業に漏えいする懸念が今後ますます高まる可能性があることから、訴訟手続きの見直しなどが不可欠である。

  3. (3)「知の活用力」の強化
    法改正や規制改革により、企業の事業潜在力を発揮させることも重要である。公共データの包括的利用許諾を認めるなど、新規ビジネス創出に向けた著作権法の改正を行うほか、一部の領域における差止請求権の制限についての検討も行うべきである。

3.グローバルレベルの「知的創造サイクル」の強化に向けて

  1. (1)「知のグローバルな保護力」の強化
    アジアをはじめとする新興国への事業展開が一層進む一方で、これらの国々のなかには、知財関連法制の整備が十分でないところも多い。こうした国々に対し、法整備支援や審査官の育成に重点的に取り組むほか、海外における知財相談窓口機能の強化など、現地日系企業の知財面の支援策を充実させることが必要である。

  2. (2)「知のグローバルな活用力」の強化
    わが国企業の優れた技術に裏打ちされた標準を国際標準とすることは、わが国企業の製品・サービスの競争力に直結する。縦割り行政を超えた有機的連携や、認証機能の強化に向けた重点的な取り組みなど、政府に求められる役割は大きい。海外事業によって得られた利益を国内に還流させるため、ブラジルなどに存在しているロイヤリティー送金規制の是正にも注力すべきである。

4.体制整備

知財法制全般の整備を統一的かつ戦略的に推進するため、知的財産戦略本部は、関係省庁への指導力を発揮すべきである。また、特許庁には、国内サービスのみならず、わが国企業の海外展開に必要な海外サービスを充実させ、グローバルサービス競争に「勝てる組織」となることを期待する。

【産業技術本部】

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