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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年4月4日 No.3126 医療IT化と医療情報の利活用の現状等を聞く -社会保障委員会医療改革部会

経団連は3月27日、東京・大手町の経団連会館で社会保障委員会医療改革部会(齊藤正憲部会長)を開催し、厚生労働省の鯨井佳則情報政策担当参事官と井内努保険システム高度化推進室長から、「医療IT化と医療情報の利活用」をテーマに説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

(1)日本の医療IT化の現状と地域医療ネットワーク

ここ数年の間に、医療情報のIT化は大きく進み、電子カルテやオーダリングシステム、レセプトのオンライン請求が普及するとともに、医療機関間がネットワーク回線で診療情報を共有する取り組みが各地で見られるようになっている。

IT化を通じて地域における医療連携が強まることで、(1)継続的な医療サービスの提供(2)検査・投薬等の重複回避(3)疾病管理を通じた重度化防止――など多様な効果が期待される。最近では、地域医療再生基金を活用しつつ、地域の医師会等の関係団体の参加も得た取り組みが増えている。

医療機関が民間中心で、しかもフリーアクセスであるわが国では、全国一律のネットワークを構築するという考え方にはなじみにくく、ネットワークが持続するためには、地域ごとに十分な協議が必要である。国としても、各地域のネットワーク構築を推し進めるべく、セキュリティーや個人情報保護に関するガイドラインの策定、医療機関間でやりとりされる情報の標準化などを進めている。

(2)医療分野の規制改革

遠隔医療については、「直接の対面診療に代替し得る程度の患者の情報が得られる場合」には認めており、医療現場で柔軟な判断ができることを厚労省の通知で明確化している。ただし、初診や急性期については対面診療が原則である。初診や急性期の患者に対して触診や聴診をせずに医療ができるものか疑問である。

処方箋の電子化については、処方情報を電子化し、患者や医療機関・薬局の間で共有することは現行法で実施可能である。まずは処方情報を電子的に共有することで、医療関係者にもメリットを実感してもらうことが現実的ではないか。そのうえで電子処方箋の実現を目指したい。

■ 意見交換

続く意見交換では、「IT化の初期投資コストに躊躇する医療機関への啓発策はあるか」「番号制度の導入を通じて、調査研究などの医療情報の二次利用を進めることが可能か」との質問に対し、「モデル事業を通じて、患者の安心感、継続的な医療など医療機関側のメリットを示すことが重要」「番号制度を導入する前に、地域のネットワークを普及させる必要がある。医療情報の集積・分析・活用は二次利用なので、一次利用がないと成立しない」との回答があった。

また、「健保組合が、健診情報とレセプト情報を突合させて健康管理する場合、個人情報の扱いが問題にならないか」との質問に対し、「健保組合内の閉じたなかで医療情報を利用する場合や、守秘義務契約を交わしたうえで外部の業者に委託する場合であれば問題はない」との認識を示した。

【経済政策本部】

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