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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年5月23日 No.3131 報告書「中小企業のアジア地域への海外展開をめぐる課題と求められる対応」公表 -海外展開の留意点や政府・公的支援機関への要望などを提示

経団連は14日、報告書「中小企業のアジア地域への海外展開をめぐる課題と求められる対応」を取りまとめ、公表した。

新興諸国の旺盛な需要の獲得はわが国企業の成長にとって不可欠だが、ノウハウや人材面の不足などから、海外展開を躊躇している中小企業は多い。そこで同報告では、大半の中小企業が進出先として選んでいるアジア地域への海外展開の際に直面する課題と求められる対応、政府・公的支援機関への要望を取りまとめている。

1.中小企業が直面する課題

中小企業が直面する課題として、報告書の取りまとめにあたり調査に協力をいただいた企業が特に強調した三つの大きな課題を取りあげている。

第一は、海外実務を任せられる人材の確保である。人材不足に悩む中小企業にとって、自社のエース級人材の海外赴任や海外人材の社内での育成は困難である。そのため、海外マネジメント経験が豊富な外部のOB・OG人材の採用が効果的であり、経営者には日ごろからの人脈づくりが大切であることを掲げている。

第二は、現地従業員の管理職層への育成と定着である。管理職層の候補者として、日本国内の外国人留学生や外国人技能実習生制度の卒業生をあげたほか、定期的な面接などを通じて、現地従業員と日本人駐在員の意識面のギャップを解消していくことや、日本国内での教育研修の受講機会を設けることが定着やモチベーションの向上に効果があるとしている。

第三は、信頼できるビジネスパートナーの確保である。海外見本市・展示会などを含め、パートナーとの出会いの機会はさまざまであるが、最終的には経営者自らが相手企業の経営トップの人間性や信頼できる企業体質かどうかを見極めることが重要と指摘している。

2.海外展開における留意点

中小企業が海外展開を行う際の重要な留意点として四つあげている。

第一に「経営者の覚悟とリーダーシップ」として、中小企業の強みである「意思決定の早さ」と「機動力の高さ」を最大限に発揮するため、経営者が現場の最前線に立ち、陣頭指揮をとることが不可欠であるとしている。

第二に、「進出目的の明確化」として、価格競争や大量生産といった体力勝負を避けるためにも、「何を武器にどこで勝負するか」(ポジショニング)を明確化することの重要性を指摘している。

第三に、「現地市場の情報収集・分析と自社の情報発信」として、経営者自らが現地に赴き、現地情報をじかに肌で感じることが肝要であり、情報発信においては、IT技術の活用によるホームページの充実や、マスコミとの連携が効果的であるとしている。

第四に、「想定しづらいさまざまなリスクへの事前準備」では、知的財産権への対応や人件費の高騰、労使紛争の発生などへの事前準備が不可欠であることを指摘している。

3.政府・自治体・公的支援機関等への要望

政府などによる支援策の効果に関する分析や検証の徹底、各種必要書類のさらなる簡素化・簡便化、相談支援体制の強化など、八つの項目をあげている。

【労働政策本部】

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