Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年1月9日 No.3161  第2回審議員会を開催 -来賓あいさつ・講演

経団連が12月25日に開催した第2回審議員会(1月1日号既報)では、来賓として安倍晋三総理大臣、岸田文雄外務大臣、田村憲久厚生労働大臣があいさつし、その後、来賓の黒田東彦日本銀行総裁が「デフレ脱却の目指すもの」をテーマに講演した。来賓あいさつおよび来賓講演の概要は次のとおり。

■ 「経済再生は、まだ道半ば」=安倍首相あいさつ

あいさつする安倍首相

2012年末の審議員会で、「強い日本を取り戻す」と約束してから1年が経った。「三本の矢」により、日経平均株価は5000円以上上昇するなど、日本経済は確実に明るい兆しがみえつつある。財政健全化も大きく進展し、14年度予算案の基礎的財政収支は、13年度当初予算に比べて5.2兆円改善している。これは平成に入ってから2番目の改善幅である。

しかし、デフレ脱却、経済再生は、まだ道半ばである。安倍政権は、14年も「経済最優先」。消費税引き上げで、経済再生のチャンスを失ってはいけない。14年度初めの反動減対策に5.5兆円の経済対策を用意し、一時的な反動減を乗り越え、成長軌道に戻していく。

安倍政権の改革に終わりはない。1月には、今後実行していく成長戦略関連施策を実行計画として閣議決定し、実施時期と担当大臣を明らかにする。14年半ばの成長戦略改定を目指し、今後の検討方針を明らかにしたい。景気回復と成長の主役である民間企業には、経済の潮目の変化を契機に、積極的な投資や賃上げといった攻めの経営に転じ、明るい兆しを全国の雇用者や中小企業・小規模事業者まで広げてほしい。

日本再生への道は始まったばかりであり、14年が正念場である。次回の審議員会では、より一層明るい報告ができるように、引き続き全力で経済再生に取り組んでいく。

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続いてあいさつした岸田外相は、「日本経済でみえ始めた復活の兆しを着実な成長につなげるために、14年も力強い経済外交を進める」と表明した。田村厚労相は、「すべての人材が能力を高め、その能力を最大限生かせる社会の構築を進めるとともに、超高齢社会に対応した社会保障制度への転換を図る」と述べた。

■ 「デフレ脱却の目指すもの」=黒田日本銀行総裁講演

講演する黒田日銀総裁

日本におけるデフレ問題の本質は、デフレが長引くなかで、「物価が上がらない」ことを前提にした行動が企業や家計にとって合理的となり、その仕組みが定着する「デフレ均衡」が生じていたことである。この縮小均衡から抜け出すには、人々のマインドセットを転換する大胆な政策を打ち出し、「物価の緩やかな上昇」を前提にした行動がより合理的な選択となる経済環境に転換する必要があった。

そこで日本銀行は13年4月に、消費者物価上昇率2%という「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に、できるだけ早期に実現すると強く明確にコミットするとともに、それを裏打ちするために、量・質ともに従来とは異次元の金融緩和を導入した。日本銀行は、デフレ期待の払拭を起点として、価格の緩やかな上昇、売上・収益の増加、賃金の上昇、消費の活性化といったかたちで、経済の好循環が実現・定着することを目指している。

現在の日本経済には好転の動きが幅広くみられ、デフレ脱却に向けた「千載一遇」のチャンスである。経済界にも、経済の好循環に向けた前向きな動きが拡がることを強く期待している。

【総務本部】