Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年2月6日 No.3164  関西会員懇談会を大阪で開催 -経済の好循環の実現と日本経済の再生に向けて

懇談会には関西地区の会員約380名が参加した

経団連は1月29日、大阪市内のホテルで「関西会員懇談会」を開催した。経団連から米倉弘昌会長をはじめ審議員会議長、副会長らが、関西地区からは森詳介関西電力会長をはじめ約380名が参加し、「経済の好循環の実現と日本経済の再生に向けて」を基本テーマに、活動を報告するとともに懇談した。

開会あいさつのなかで、経団連の米倉会長は、「わが国経済は、安倍内閣による一連の経済政策が功を奏し、大企業から中小企業まで幅広い業種で業況の改善が進み、有効求人倍率も約6年ぶりに1倍台となるなど、着実に回復を続けている」と指摘した。そのうえで、今年の最大の課題は、上向きはじめた日本経済を、デフレから完全に脱却させ、持続的な成長軌道に乗せていくことであるとの認識を示したうえで、「われわれ経済界が実際に経済を成長させ、新たな成長の実現に全力で取り組み、日本経済の再生をリードしていかなければならない。経団連としても、企業業績の改善が投資の拡大と雇用創出、さらには賃金の引き上げにつながる『経済の好循環』を創り出すべく、引き続き努力していく」と述べた。あわせて、政府に対し、震災復興の加速や成長戦略の実行、とりわけ、新しい技術の活用推進やエネルギー供給の安定と経済性の確保、TPP(環太平洋経済連携協定)をはじめとする経済連携の実現、税・財政・社会保障改革などを求めていくとの意向を示した。

■ 活動報告

活動報告では、まず経団連側から、(1)「日本経済の発展の道筋と社会保障制度改革の推進」について、今年1月の提言「日本経済の発展の道筋を確立する」の内容と、持続的成長と財政健全化を実現するうえで不可欠となる社会保障改革の必要性(斎藤勝利副会長)(2)「今次労使交渉における経営側の基本姿勢」について、業績が好調な企業における雇用の拡大や賃金の引き上げに言及した経営労働政策委員会報告(宮原耕治副会長)(3)「グローバル人材の育成」について、初等・中等教育の見直しや大学教育・入試の改革の必要性、経団連における奨学金等の留学支援の取り組み(川村隆副会長)(4)「地域基盤の強化に関する基本的考え方」について、政府の国土強靭化政策の動向、国土強靭化基本法の成立と国土強靭化政策大綱の策定、経団連の提言の反映状況等(大塚陸毅副会長)(5)「農業界と経済界との連携・協力強化の取り組み」について、政府における6次産業化や減反政策の見直しなどの農業改革と、JAなどの農林水産業界と経済界の連携の状況(三浦惺副会長)(6)「高齢社会に対応した住まい・まちのあり方」について、高齢者がより自立して長く住め、快適かつ健康に過ごすことができるような環境整備の必要性(石原邦夫副会長)(7)「女性の活躍推進」について、経団連の女性の活躍推進部会の検討状況と来月開催予定の企業の中間管理職層を対象とした「ダイバーシティ・マネジメントセミナー」等今後の取り組み(大宮英明副会長)――をそれぞれ説明した。

■ 意見交換

意見交換では、関西地区の会員から、(1)地方分権・地域社会経済活性化に関し、関西広域連合の取り組みの強化、リニア中央新幹線の大阪同時開業が重要(松本正義住友電気工業社長)(2)特区を活用した、革新的新薬の創出や再生医療への研究開発支援が重要(多田正世大日本住友製薬社長)(3)グローバルな競争力と研究開発力の強化には、税制や知的財産制度の改革による支援が重要(安藤孝夫三洋化成工業社長)――という3点についての問題提起があった。

これに対して経団連からは、(1)各地域が地域の特性に応じた施策を自らの選択と責任で実行できる体制に変革すべく、経団連として道州制を推進している(渡文明審議員会議長)(2)特区を活用した産学連携の強化や現場のニーズを踏まえた再生医療関連の法整備、知的財産制度に関する国際的なルールづくりが必要(荻田伍副会長)(3)研究開発費の税額控除の恒久化と繰越期間の延長が重要(佐々木則夫副会長)――とのコメントがあった。

その後、関西電力の森会長から「関西経済の再生に向けて」と題し、関西地区にも景気回復の兆しがみえつつあることや、「グランフロント大阪」におけるナレッジキャピタルの取り組みを紹介し、あわせて、エネルギー政策について、安全性が確認された原子力発電所については、早期に再稼働を行うべきとの考えを示した。

最後に、経団連の米倉会長が、「本日の意見を踏まえ、引き続き、経団連として、日本経済の再生に向けた取り組みを全力で進めたい」と総括した


懇談会終了後、米倉会長は記者会見を行った。会見での米倉会長の発言の概要は次のとおり。

<関西経済の現状>

関西経済は緩やかに回復している。大阪はいち早くアベノミクスの効果を享受しているのではないか。消費マインドが改善して個人消費が持ち直すとともに、設備投資や住宅投資も増加しており、先行きは明るいと思う。

<労働者派遣制度の見直し>

非常にわかりやすい制度になるのではないか。派遣元と無期契約がある場合には派遣先での業務に期間制限がなくなるなど、派遣労働者にとっても雇用が安定することになろう。またキャリアアップのための措置も盛り込まれており、バランスのとれた制度になると歓迎している。

【総務本部】