Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年2月6日 No.3164  カナダの通商政策について説明聞く -クラグストン駐日カナダ大使と懇談/カナダ委員会

経団連のカナダ委員会(村瀬治男共同委員長、土橋昭夫共同委員長)は1月22日、東京・大手町の経団連会館でマッケンジー・クラグストン駐日カナダ大使との懇談会を開催し、カナダの通商政策について説明を聞いた。説明概要は次のとおり。

■ 貿易は繁栄の基盤

カナダ政府の最重要課題は雇用の創出、経済成長、国民の長期にわたる繁栄であり、貿易はその達成に不可欠な基礎的要件となっている。カナダの雇用の5分の1は輸出に支えられ、貿易総額はGDPの60%に匹敵する。さらにカナダには、航空宇宙やICT産業で世界をリードする企業を含む3万8千社の輸出企業がある。

中規模経済の国であるカナダは、貿易立国として保護主義に対抗し、外国市場の開放を保つため、通商協定を推進してきた。また、WTOやNAFTAでも内外無差別や透明性、紛争処理メカニズムといったルールの構築に貢献した。

■ ドーハ・ラウンドの停滞と通商政策の転換

カナダは従来WTOを世界との自由貿易協定と位置づけ、またNAFTAによって北米における貿易の枠組みをつくった。しかし、世界は大きく変わりWTOとNAFTAだけでは不十分となった。WTOドーハ・ラウンドが停滞するなか、カナダ政府は2007年にグローバル・コマース戦略を策定し、EU、ペルー、コロンビア等とのFTA交渉を新たに開始した。また07年以降、22の投資促進協定を締結した。

EUとの包括的経済・貿易協定は13年10月に原則合意した。カナダにとってこれまで最も野心的な協定であり、物品関税、政府調達、規制の調和などすべてを含むものである。今後、条文の法的な精査や翻訳作業がなお必要で、最終合意にはあと2年ほどかかるだろう。

■ TPP・日加EPA

TPP(環太平洋経済連携協定)もアジア太平洋地域における野心的な取り組みである。域内人口は7.9億人、域内GDPは27.5兆ドルであり、世界経済の4割に達する。日本企業とカナダ企業はTPPについて多くの点で利害が共通している。昨年9月の日加首脳会談では、日加EPAとTPPを同時並行的に追求することが合意された。

日加EPAは12年以来、4回の交渉会合が開催されている。カナダは日本をプライオリティーの高い市場と認識している。日本にとっても、カナダの天然資源や高品質な食料品へのアクセスが容易になるほか、資源・エネルギー関連の投資拡大が見込める。日加EPAは両国のGDPを数十億ドル増加させるとの共同研究もあり、早期の交渉妥結を期待したい。

【国際経済本部】