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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年3月6日 No.3168 玉木OECD事務次長と懇談 -OECDの最近の取り組みや目指す方向性などを聞く

経団連のOECD諮問委員会(斎藤勝利委員長)は2月24日、東京・大手町の経団連会館で玉木林太郎OECD事務次長との懇談会を開催し、OECDの最近の取り組み等について聞いた。概要は次のとおり。

■ OECDの目指す方向性

世界経済の成長の源泉が先進国から新興国へ移り、OECDが成長モデルを提示することの正統性が失われ、また、経済の相互結合が強まり、国を単位とする考え方に限界がきていることに加えて、2008年の金融危機を予測できなかったことへの反省に立って、OECDは自らの提言能力を改めて研ぎ澄ます必要に迫られている。OECDは、国連機関のような正統性もなく、国際金融機関のような財政支援というツールもないが、有志国の政策フォーラムとしての優位性を引き続き追求していきたい。

近年、中南米や東欧の諸国がOECD加盟に関心を示す一方、ASEANの個々の加盟国とは協力関係があるにもかかわらず、アジアから加盟のアプローチがないのは、OECDの努力が十分でなかったのが一因である。そこで、今年5月の閣僚理事会では、東南アジアとの関係強化をテーマの一つに取り上げるとともに、同地域向けのプログラムを立ち上げる予定である。

■ OECDの最近の取り組み

企業の関心が高いOECDの取り組みとして、「付加価値貿易統計(TiVA)」と「税源浸食と利益移転(BEPS)」を紹介したい。

TiVAは企業の生産拠点が複数国に分散している状況を踏まえ、各国で生み出された付加価値を示す統計である。TiVAによって、輸入制限は結果として「自国窮乏化」につながること、中間財やサービスの貿易が重要な意味を持っていることなどがわかる。また、日本については、(1)輸出総額に占める外国付加価値の割合が低い(2)外国付加価値の比率が高まった産業では一部を除き労働生産性も伸びている(3)輸出品に体化されたビジネスサービスの割合が相対的に低い――といった経済の特徴のみならず、分析の深化によって経済力強化のための政策の方向性もみえてくる。

OECDのBEPSプロジェクトについては、ビジネスモデルの変化や国境を越えた電子商取引の広がりなどの状況に対し、現行の国際課税ルールが追いつかず、源泉地国でも居住地国でも十分に課税されない「二重非課税」の問題等に対処する必要性が高まったことがその背景にある。BEPSプロジェクトを成功させることは、国境を越えた租税回避スキームの問題解決のみならず、二重課税への回帰という企業にとって好ましくない状況を避けるうえで極めて重要である。

【国際経済本部】

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