経団連の日本メキシコ経済委員会(小枝至委員長)は2月27日、東京・大手町の経団連会館でインクラン・セルジオ在日メキシコ大使館公使(メキシコ経済省駐日代表)との懇談会を開催し、最近のメキシコにおける構造改革の動向などについて説明を聞いた。
説明の概要は次のとおり。
■ 経済自由化の取り組み
メキシコは1982年の「テキーラショック」(通貨危機)を契機に、それまでの国内企業保護のための輸入代替政策を改め、貿易自由化を進めてきた。86年のGATT加盟、92年の北米自由貿易協定(NAFTA)発効と並行して、中南米諸国やEUとも自由貿易協定を締結し、日本との経済連携協定(EPA)も2005年に発効した。最近ではチリ、ペルー、コロンビアとの経済的統合を目指す「太平洋同盟」を設立したほか、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉にも参加をしている。
貿易自由化の政策効果は大きく、貿易の拡大に加え主要輸出品目も農業製品から工業製品へと移行した。また、自動車産業を中心にわが国の直接投資も大幅に拡大した。
■ 構造改革への取り組み
12年12月に就任したペニャ・ニエト大統領は、就任してまもなく野党を含む主要3政党と「民主化の進展」「経済の強化」「人権のさらなる尊重」を内容とする“メキシコのための協約”を結び、教育、労働、通信、金融、財政などの分野で構造改革を進めてきた。
昨年12月には、最重要分野であるエネルギー改革を進めるための憲法改正を実現している。その主なねらいは、石油などの資源を引き続き国家の資産としながらも、国営石油会社のペメックスに対する国内外の民間部門からの投資を可能とするものである。背景には、ペメックスの石油生産量が減少しているため、探鉱などの新規投資を拡大させていく必要性が生じていることが挙げられる。今年半ばにエネルギー改革の詳細を固める予定であり、来年の早い段階に民間セクターとの最初の契約が成立する見通しである。この改革で、ペメックスの生産量の拡大と電力等のエネルギーコストの低減が期待できる。
■ 今後のメキシコ経済
メキシコ経済はここ数年、順調に成長を続けており、一連の構造改革の効果が現れれば、18年には成長率が5.3%となるとの推計もある。
また、メキシコは人口(1億1200万人)の50%が27歳未満と非常に若い国である。また、国内の投資対象となり得る分野も多岐にわたり、今後は、石油・ガス・電力に加えて、インフラ分野が有望である。今回のエネルギー分野の改革が、今後の日本とメキシコの関係強化に大きな役割を果たしていくと考える。
【国際協力本部】