経団連の小林喜光・ヨーロッパ地域委員会共同委員長は12日、東京・大手町の経団連会館で、リトアニアのリナス・リンケビチュウス外務大臣と懇談を行った。
小林共同委員長からは、日本の経済情勢、アベノミクスの進捗状況などを説明するとともに、日EU経済連携協定(EPA)の早期締結に向けて、引き続き理解と支援を求めた。リンケビチュウス外相の発言は次のとおり。
■ リトアニア経済は危機を脱し安定的に成長
2008年の世界的な経済危機によって、GDP成長率が前年比15%も落ち込むなど、リトアニア経済は大きな困難に直面した。そこでわが国は公務員給与削減や年金引き下げ等の抜本的な対策を講じ、外国からの支援なしに自助努力を重ねた結果、今ではリトアニアのGDP成長率は3.5%とEU内で最も高い水準にある。リトアニアは、世界銀行によるビジネスのしやすさに関するランキングでは第17位となった。来年1月からのユーロ導入がほぼ確実となっており、リトアニア経済はさらに安定化する見込みである。
■ 日EU EPAを通じて二国間関係の強化に期待
リトアニアは引き続き日EU EPAを支持している。EPAの実現に向けて、今や大きな障害はなく、今後は前進あるのみと考えている。リトアニア政府が日本との関係拡大を期待している産業分野は、バイオテクノロジー、レーザー技術、ライフサイエンス等である。今年9月には、首都ビリニュスで「バルト・ライフサイエンスフォーラム」を開催する予定である。対日輸出は伸びており、家具、エンジニアリング、エレクトロニクス等も二国間関係の強化に向けて有望な産業分野である。
■ エネルギー供給源の多角化に向けた取り組み
ビサギナス原子力発電所建設プロジェクトをめぐる状況は容易ではないものの、エストニア、ラトビアとは地域パートナーとして協力しており、政権発足当初に比べると効率的に検討が進んでいる。同プロジェクトを通じて日本企業との関係が深まることを期待している。
現在、リトアニアでは、エネルギー供給源の多角化に向けて、LNGターミナルの建設、スウェーデンとの電力網接続、ポーランドとのガスパイプライン建設等、複数のインフラ・プロジェクトが進行しており、原子力もその一環として視野に入れている。
【国際経済本部】