経団連の米倉弘昌会長は19日、東京・大手町の経団連会館で記者会見を行った。今回が任期中最後の記者会見となる米倉会長は、4年間の任期を振り返り、所感を述べた。
まず、東日本大震災について、経団連では、震災発生直後に対策本部を立ち上げ、(1)義援金の呼びかけ(2)燃料や救援物資輸送のための高速道路の緊急車両通行許可の働きかけ(3)自衛隊や会員企業との協力による陸海空の物流ルートの確保(4)被災各県の知事とのホットライン開設と協力強化――などに取り組み、被災地のお役に立てたと思うと発言。そのうえで、今なお26万人超の被災者が仮設住宅で生活している現状を踏まえ、本格的なまちづくりに力を入れてほしいと述べた。
また、経済を担う企業こそ勇気をもってイノベーションを加速すべきとの考えから、最先端の技術を用いて国内11の都市で実証実験を行う「未来都市モデルプロジェクト」に取り組み、環境、医療分野などで技術革新を進めることができたと述べた。
国際関係では、TPP、日中韓FTA、日EU EPAなどの経済連携協定促進を働きかけたことを挙げた。特に、日本の非関税措置の撤廃を主張するEUとのEPAは、業界同士の対話を提案し、ドイツのメルケル首相、英国のキャメロン首相、欧州理事会のファンロンパイ議長の賛同と欧州産業界の支持を得て交渉が始まったとの経緯を紹介。TPPについては、政治のリーダーシップを発揮し、大筋合意を実現してほしいと述べた。
さらに、農業の競争力強化に向けて、JAグループとの間でワーキンググループを設け、産業界と農業界の連携策を取りまとめるとともに、経団連会員による農林漁業活性化のための取り組み事例(150社・団体、292件)を公表したことを挙げた。そのうえで、農業は食料供給という重要な役割を担っており、高齢化、後継者不足、耕作放棄地拡大などの課題を克服し、若者にとって魅力的な産業にすることが重要との認識を示した。
【社会広報本部】