昨年9月から産業構造審議会・中央環境審議会合同会合において、容器包装リサイクル(以下、容リ)制度の見直しに関する検討が行われている。その一環として現在、個別論点にかかる具体的な議論が進められている。
そこで、経団連は4月22日、東京・大手町の経団連会館で環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会(山田政雄部会長)を開催し、合同会合でオブザーバーとして随時意見を表明してきた全国清涼飲料工業会の大平惇相談役から容リ制度のあり方などについて説明を聞いた。
説明の概要は次のとおり。
■ 容リ制度見直しの主な論点に対する考え方
(1)主体間の役割・費用分担のあり方
現行の容リ法では、容器包装廃棄物について、消費者が分別排出に協力し、市町村が分別収集・選別保管を行う一方、事業者が再商品化義務を負う、という役割分担が明確に定められている。
合同会合では、「現行の役割分担のもと、各主体の役割深化が進み、効果を上げてきた」という肯定的な評価がみられる一方、「市町村のコスト負担が事業者のそれに比して大きいのは不公平」との指摘もある。しかし、納税者である事業者の再商品化費用と、市町村が分別収集に使用する税を単純に比較することは無意味である。
また、「市町村による選別は本来商品化の一部のため、事業者の責任とすべき」との意見も聞かれるが、選別を事業者責任とすれば、良好に機能している現行制度の基本的枠組みが崩壊しかねない。さらに、市町村が質の高い分別収集を行うインセンティブが失われ、高度な再商品化が阻害されることになる。
(2)再商品化のあり方
現行制度においては、プラスチック製容器包装の再商品化手法として、材料リサイクル(注1)が優先的に扱われている。しかしながら、引き取ったプラスチック製容器包装廃棄物の約半分は再生材とはならず残渣となる。また、材料リサイクルは、ケミカルリサイクル(注2)など、他の手法よりも商品化費用がはるかに高い。
元のプラスチックに戻すことが正しい手法とするのは固定観念であり、優先的取り扱いは、材料リサイクルに適した容器包装に限定すべきである。
(3)合理化拠出金のあり方
再商品化にかかる社会的コストの効率化を図るため、再商品化費用が当初の想定額を下回った場合、事業者が市町村に資金拠出する制度が導入されている。2008年度から10年度まで、年間100億円前後の資金が事業者から市町村に拠出されていたが、11年度以降、20億円前後に減少している。
こうした状況において、市町村の分別収集を支援するため、相当の金額を継続的に受け取れるよう、新たな制度に変更すべきという意見もみられる。しかし、拠出金の減少は、合理化・効率化の進化による社会全体のコスト削減として評価すべきである。
(注1)材料リサイクル=廃プラスチック類を破砕溶解などの処理を行った後、同様な用途の原料として再生利用する手法
(注2)ケミカルリサイクル=廃プラスチック類を化学的に分解することで、石油原料等を経て製品原料(元の製品であるかは問わない)として再生利用する手法
【環境本部】