政府は昨年1月から、前政権のエネルギー政策をゼロベースで見直し、責任あるエネルギー政策を構築するための検討を進め、4月11日、わが国の中長期のエネルギー政策のあり方に関する基本的方針として、「エネルギー基本計画」を閣議決定した。
そこで、経団連は15日、東京・大手町の経団連会館で資源・エネルギー対策委員会(井手明彦委員長、加藤泰彦共同委員長)を開催し、経済産業省資源エネルギー庁の後藤収審議官から、エネルギー基本計画の概要について説明を聞くとともに意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。
■ エネルギー政策に関する基本的な方針
エネルギー自給率の低さや地球温暖化対策の必要性等、わが国のエネルギー需給構造が抱える課題を踏まえると、エネルギー政策の要諦は、安全性を前提とした「安定供給(エネルギー安全保障)」「コスト低減(効率性)」「環境負荷低減」の実現である。加えて、国際的視点(原子力の平和・安全利用や地球温暖化対策等)および経済成長の視点が重要となる。
■ エネルギーの需給に関して講ずべき施策
(1)資源確保
資源外交を推進するとともに、将来の国産資源の商業化に向けて、メタンハイドレート等の開発を加速する。(2)省エネルギー
省エネルギーの取り組みを部門ごとに推進すべく、目標となり得る指標を策定する。
産業部門については、省エネ効果の高い設備への更新を促進するための支援策を実施する。(3)再生可能エネルギー
再生可能エネルギーは、重要な低炭素の国産エネルギーである。
2013年から3年程度、導入を最大限加速し、その後も積極的に推進し、これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準(発電電力量のうちの再生可能エネルギー等の割合は、20年に13.5%(1414億キロワット時)、30年に約2割(2140億キロワット時))をさらに上回る水準の導入を目指し、エネルギーミックスの検討にあたっては、これを踏まえる。
固定価格買取制度については、適正な運用を基礎として、国民負担の増加やドイツ等の経験も踏まえ、見直しに着手する。(4)原子力
原子力は、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である。
原子力発電への依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化等によって、可能な限り低減する。その方針のもとで、わが国の今後のエネルギー制約を踏まえ、安定供給、コスト低減、技術・人材維持の観点から、確保していく規模を見極める。
原子力規制委員会によって規制基準に適合すると認められた原子力発電所については、再稼働を進める。
高レベル放射性廃棄物の最終処分に向けた取り組みおよび核燃料サイクル政策については、将来へ先送りせずに着実に推進する。(5)化石燃料
石炭、天然ガス、石油はいずれも重要なエネルギー源である。
高効率石炭火力やLNG火力発電の有効活用のため、環境アセスメント期間の短縮や次世代高効率石炭火力発電技術(IGCC等)の開発・実用化等を推進する。
■ エネルギーミックスの検討
エネルギーミックスについては、原子力発電所の再稼働、再生可能エネルギーの導入や地球温暖化問題に関する国際的な議論の状況等を見極めて速やかに示す。
【環境本部】