Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年6月12日 No.3180  企業年金を取り巻く状況と課題めぐり意見交換 -社会保障委員会年金改革部会

経団連は5月22日、東京・大手町の経団連会館で社会保障委員会年金改革部会(柿木厚司部会長)を開催し、厚生労働省年金局の黒田秀郎企業年金国民年金基金課長と山内孝一郎基金数理室長から、「企業年金を取り巻く状況と課題」について聞くとともに、意見交換を行った。
説明の概要は次のとおり。

■ 企業年金制度の概観

これまで適格退職年金と厚生年金基金が長らく企業年金の中心的な役割を担ってきた。しかし、適格退職年金は2012年度末で、厚生年金基金も今年4月で一区切りであり、すでに企業年金の中心は確定給付企業年金(以下、DB)と確定拠出年金(以下、DC)となる。

DB、DCは発足してから、その時々に指摘された課題に対応することを中心に制度改正が行われてきた。今後、社会保障審議会の企業年金部会で企業年金全般の議論を行うが、企業年金は労使で運営される仕組みであることを前提に、持続可能で取り組みやすい制度となるよう、適切なアジェンダ設定をしていきたい。

■ 公的年金制度との関係

公的年金は5年に1回の財政検証の時期。現行制度は、保険料の上限が法定され、今後、公的年金の給付水準はマクロ経済スライドによって所得代替率が60%から50%を下限に徐々に低下していく仕組みとなっている。長寿化の進行などもあわせて考えると、老後の所得確保において企業年金の重要性は今後一段と高まっていくだろう。こうした観点から、企業年金制度のあり方をあらためて考えることが求められている。

■ 制度論にあたってのポイント

近年、企業年金をはじめとする退職給付を導入する企業数が減少傾向にある。特に、企業年金については、従業員数300人未満の企業でより一段と低い水準になっている。企業年金制度において、税制の占める位置づけは大きい。大企業と中小企業、経営者と労働者、企業規模を問わず労使がそろって大切と考える制度の議論が極めて重要となる。

<意見交換>

意見交換では、「企業再編に伴う退職給付制度の移行に際し、弾力的な仕組みが必要」との委員からの指摘に対して、「税制との関係の整理が必要となるが、現場での具体的な提案があるとより議論を深められる」との回答があった。また、「DCの運用のあり方は非常に重要であり、デフォルトファンドの推奨を含め、何か工夫が必要」との指摘には、「労使のコミュニケーションを行うなかで、メッセージをうまく伝えていく必要がある。商品の選び方は、投資教育の現状や課題を踏まえながら建設的な議論ができれば」との考えが示された。

【経済政策本部】