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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2014年7月17日 No.3185 防衛生産・技術基盤の維持・強化に向けて防衛省と懇談 -吉田大臣官房審議官から説明を聞く

説明する吉田審議官

経団連は2日、東京・大手町の経団連会館で、防衛生産・技術基盤戦略に関する説明会を開催した。防衛生産委員会の水谷久和総合部会長が司会を務め、防衛省の吉田正一大臣官房審議官から同戦略について説明を聞き、意見交換を行った。概要は次のとおり。

■ 防衛生産・技術基盤戦略の背景

防衛省は1970年に防衛装備品の「国産化方針」を決定し、装備の自主的な開発および国産化を推進することとした。その後、防衛関係費は増加を続けたが、97年以降横ばいとなり、防衛生産・技術基盤が弱体化してきた。

そのなかで、政府の「国家安全保障戦略および防衛計画の大綱」(2013年12月)や、武器輸出三原則に代わり策定された「防衛装備移転三原則」(14年4月)を踏まえ、防衛省は6月に防衛生産・技術基盤戦略を策定した。

■ 防衛装備品の取得方法および諸施策

同戦略では、第一に、官民の長期的パートナーシップを構築し、企業が長期的な観点から投資や研究開発に取り組めるようにすること、第二に、防衛産業の国際競争力を強化すること、第三に、防衛装備品取得の効率化と最適化を両立させることを基本的な視点として示している。

防衛装備品の取得方法としては、(1)自衛隊の要求性能、運用支援、コスト等の条件を国内技術で満たせるものは国内開発を選択する(2)わが国の強みや弱みを考慮し、先端技術へのアクセス、相互運用性の向上、コストの低減などのメリットがある場合には国際共同開発・生産を選択する(3)わが国の技術が劣る装備品であって、性能やコスト等の面で問題ないものは輸入する――としている。

防衛生産・技術基盤の維持・強化のための諸施策としては、(1)契約制度については、随意契約の活用、さらなる長期契約、調達価格の低減と企業へのコストダウン・インセンティブの付与に取り組む(2)研究開発については、防衛装備品の中長期的な研究開発の方向性を定めるビジョンの策定、大学や研究機関との連携強化を図る(3)防衛装備・技術協力については、米国との協力関係を深化させ、F-35A戦闘機の国内企業による製造参画の検討を行う。加えて、英国、フランス、豪州、インド、東南アジアの友好国などとの協力関係を積極的に構築する(4)防衛産業組織については、防衛産業の重要性に対する理解の促進とサプライチェーンを維持する(5)防衛省の体制としては、装備取得関連部門を統合し、外局の設置を視野に入れた組織改編を検討する――などを提示している。

最後に、各論として、防衛装備品分野(陸上装備、艦船、航空機等)の現状および方向性を示した。

<意見交換>

意見交換で水谷総合部会長が、「防衛装備移転三原則を受けて、従来以上に企業と防衛省が意見交換する場を持ちたい」と発言したのに対し、吉田審議官は、「今回の戦略では課題を提起した。今後とも企業と防衛省とのコミュニケーションを図っていきたい」と答えた。

【産業技術本部】

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