経団連は15日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会(小島順彦委員長、野木森雅郁共同委員長)を開催し、稲田朋美内閣府特命担当大臣(行政改革・規制改革担当)から、行政改革に関するこれまでの取り組みと今後の課題について聞くとともに意見交換を行った。稲田大臣の説明概要は次のとおり。
■ 改革の基本的方針
大臣に就任した際、本質論に取り組むこと、前政権の取り組みでもよいものは引き継ぐこと、パフォーマンスは行わず結果を出すことの三点を決意した。そのうえで行政改革、規制改革、公務員制度改革を「稲田リフォーム三本の矢」とし、相互に関連する三つの改革を一緒に進めることで、効果の最大化を目指した。
■ 行政改革
(1)行政事業レビュー
各省庁がすべての事業について、レビューシートに基づき、事業の執行状況や資金の流れを点検し、点検結果を翌年度予算要求等に反映させている。また、レビューへの取り組みを公務員の人事評価に活用することが可能となった。(2)調達改善
事業実施部局以外の者が事前に審査することにより、根拠の不明確な随意契約を排除している。
また、複数年度にわたって同一事業者による一者応札となっている案件については、事業者の参入可能性を調査し、存在しない場合に一般競争入札から随意契約にしたうえで価格交渉を行うなどの工夫を行っている。(3)独立行政法人改革
国の施策の実施機関として、政策実施機能の強化および官のスリム化を目指し、(1)全法人を一律に規定している現行制度を見直し、業務の特性に着目して三つの分類を設置(2)主務大臣の下での政策のPDCAサイクル確立(3)法人の内外から業務運営を改善し得るよう、法人内部のガバナンスの強化(4)「民でできることは民で」との原則を踏まえた事務・事業の見直し――を行った。
■ 規制改革
規制改革会議は6月、(1)企業による農業生産法人への出資制限緩和をはじめとする農業改革(2)困難な病気と闘う患者からの申出を起点に国内未承認医薬品等を迅速に保険外併用療養として使用できる「患者申出療養(仮称)」の創設(3)介護・保育事業を担う社会福祉法人の経営管理の強化――等を求める答申を取りまとめた。
■ 公務員制度改革
わが国が直面するさまざまな課題を迅速に解決し強い日本を取り戻すには、行政を支える国家公務員制度の改革が不可欠である。4月に成立した国家公務員制度改革関連法案に基づき設置された内閣人事局は、各府省の幹部人事を一元管理することなどにより、内閣の重要政策課題に対応した戦略的人事配置を目指す。
■ 今後の行政のあり方
昨年10月以降、20~40代の若手や女性を中心とした「国・行政のあり方に関する懇談会」を計11回開催し、新しい行政の革新の方向について議論した。国とともに私たち一人ひとりが社会課題を「自分ごと」として受け止めて行政に参加する「自立した参加型の社会」への転換が必要とする同懇談会の結論を、今後の政策に活かしたい。
【産業政策本部】